日韓戦で見せた「鋭い眼光」
「優しくて柔和なんだけど、あれにだまされちゃいけない(笑)。アイツの眼光はね、岡ちゃんに似ているんだよ。勝負に対するこだわりを凄く持っている」
これはロシアワールドカップで日本代表をベスト16に導いた西野朗前監督の言葉である。2019年正月、NHK-BSのスペシャル番組内で対談相手の岡田武史元日本代表監督に向かって、バトンを渡した森保一監督について語ったものだ。
日産スタジアムには、鋭い眼光の森保がいた。

サッカーにおいて日韓戦は特別な意味合いを持つ。親善試合であってもだ。ヘタな試合をすれば、進退問題にまで発展しかねない。さらに言えば今回、日本サッカー協会が威信をかけ、特別な防疫措置を講じることで開催が認められたという背景がある。欧州でプレーする常連メンバーも極力招集した。このコロナ禍の難しい時期に、日本は自ら“絶対に負けてはならない”試合を設定したというわけだ。
いかほどのプレッシャーだったか。
いつもはクールに徹する吉田麻也キャプテンが試合後珍しく、フラッシュインタビューで笑顔を満開にしていたことでも理解できる。
3―0の快勝劇。
相手はエースのソン・フンミンら主力選手が欠けていたのは事実。それでも前半38分まで相手にシュートを打たせることなく、後半に入って多少盛り返されても失点することなく、逆にトドメの3点目を奪うという堂々の勝ちっぷりであった。
コロナ禍で魅せた「森保イズム」
“森保イズム”を随所に見ることができた。
「いい守備からいい攻撃」がいわば哲学。1点目の山根視来のゴールは、大迫勇也が相手から奪ってつなげたことで生まれた。2点目も伊東純也が自陣での守備からパスを出して最終的に鎌田大地が決めている。