2021.04.07
# 政治

相次ぐ官僚の「接待問題」…NHKやNTTが実は「氷山の一角」にすぎないと言えるワケ

接待騒動の「深層」

総務官僚の接待問題が、ますますその深刻度を増している。

映像プロダクション「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男らによる接待のみならず、NTTの幹部からも高額な接待を繰り返し受けていたのだ。

そもそも、民間企業はなぜこれほど熱心に官僚を接待するのか。それは、官僚が事業の許認可権を握っているからにほかならない。

イメージ写真です(photo by iStock)
 

どんな業界であっても、監督官庁の持つ生殺与奪の権は極めて大きい。マスコミ各社が総務省に対して「波取り記者」と呼ばれる接待窓口を配置しているのも、総務省が持つ電波権限の強力さを物語っている。

もっとも、全ての省庁を比較してみたとき、総務省が持っている権限の数は決して多いほうではない。民間に対して各省庁が持っている免許や承認、登録などの権限の数を総務省がまとめた「許認可等現況表」という資料がある。

これによれば、各省庁が持っている許認可数は、合計で1万5475件(2017年4月1日時点)。一番多いのが国土交通省で2805件。次点が厚生労働省の2451件。以下、金融庁が2353件、経済産業省が2261件、農林水産省が1770件と続く。

これに比べて、総務省が握る許認可数は718。国交省の4分の1だ。裏を返せば、より多くの権限を握る省庁に対して、民間企業から総務省のケースを超えるような接待が行われている可能性がある。

また、利害関係先が公務員に与える影響は、今回のような現役官僚への接待だけに限らず、OB官僚への天下り先の用意もある。

有力OB官僚は、省庁を離れてからも、省内の意思決定に対して陰に陽に影響を与え続ける。

'06年の第1次安倍晋三政権以降に行われた公務員制度改革では、接待の原則禁止を明記した「国家公務員倫理法」とあわせて、天下りを規制し、恣意的な人事を抑制するべく、内閣人事局が作られた。これにより、各省庁の審議官以上のポストの人事は、内閣人事局による承認が必要になった。

 

だが、異動案のたたき台を作るのは、以前と変わらず各省の人事部局であり、局長以上の幹部人事は事務次官を中心に決められていく。

有力OB官僚や利害関係者からの働きかけの影響は、決して排除されていないのだ。そうなると、影響力を持つ利害関係者からの声かけを、現役官僚が断るのはなかなか難しい。結果、'17年に発覚して問題化した文部科学省のように、天下りの系譜は脈々と受け継がれていく。

今回の総務官僚への接待を見ても、公務員制度改革の運用が緩んできていることは明らかだ。接待や行きすぎた天下り事例があるとともに、内閣人事局についてもOB官僚人事を防ぐという本来の趣旨がないがしろにされている。

「人事局制度によって官僚が政治家の顔色を窺うようになった」と嘆く声もあるが、'90年代後半の大蔵省のように、接待漬けにされて汚職に手を染める官僚が続出するほうが、遥かに害が大きい。

官僚機構がふたたび地盤沈下するのを防ぐためにも、接待問題の調査は徹底して行われるべきだろう。

『週刊現代』2021年4月3日号より

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