守るものができることの恐れ

まずは、今までの私が後ろ向きだった理由を考えてみる。
 
仕事柄、私のことを知ってくれている人は私が思っているよりも多く、中には、私を快く思っていない人もいるだろう。自分ひとりが嫌われる分には、構わないと思えるから、こうして本音を話すことができている。

だが、未来の子どもの目線で考えたとき、産まれたときから、母親が私であることで、ハードモードな人生を設定してしまうのではないかという心配があった

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アラサーのときは、まだまだ仕事もこれから頑張らないといけないタイミングで、一度オーソドックスな結婚は諦めた。一生ひとりで生きていくという覚悟を決めないと、ふわふわした自分が腰を据えることはできないと思ったからだ。

でも、「結婚しない決断」と「産まない決断」とは異なるものだ。子どもを持つ可能性についてだけは、切り捨てられなかった。いつかどんな機会や衝動がやってきてもいいように準備だけはしておこう。元大相撲力士の舞の海氏はかつて「技のデパート」と呼ばれていたが、婦人科系疾患でそういえるほどの状態だった私は、悔いが残らないようにと、33歳のとき、卵子凍結をした。
 
そうこうしてる間に、世間は目が回るほどのスピードで変化していった。『女性芸人、母になったら面白くなくなる神話』も過去のものになりつつある。SNSのコメントにも、「恋をしたら面白くなくなるぞ!」じゃなく、『素敵な人を見つけて幸せになってください』という趣旨のものが増えた。

もちろん、結婚の有無で幸せが決まるものではないが、女性芸人の不幸を見たい人ばかりではないと、初めて知ったときは衝撃だった。まるで、ついこの間まで男女交際に厳しかった両親に、「そろそろ嫁に出たらどうなんだ!」と一喝される箱入り娘になった気分だ。

写真提供/バービー

社会の成熟という意味では、良い変化なのだが、当事者としては整理するのに時間がかかることも正直少しあった。かつては悲哀を見せるための存在というような側面が、芸人にはあったが、今は逆だ。

実際、そう言った視聴者のニーズに合わせて番組内容も変わってきている。