エントリーカプセルを放出する「はやぶさ2」の想像図 (C)JAXA
# 宇宙

技術ゼロからのイノベーション…「はやぶさ2」カプセルの開発は“はったり”から始まった

本日から東京・上野の国立科学博物館で一般公開される「はやぶさ2」の帰還カプセル。このカプセルの開発は、じつは一連の「はやぶさ」プロジェクトの中でも非常に困難だったという。
「はやぶさ2」が拓く 人類が宇宙資源を活用する日』(ビジネス社)の著者で
「はやぶさ」プロジェクトマネージャの川口淳一郎氏が、知られざるカプセル開発秘話を明らかにする。

小惑星リュウグウのサンプルを乗せて地球に帰還

本日、2021年3月27日(土)から、4月11日(日)まで、東京・上野の国立科学博物館で、「はやぶさ2」の帰還カプセルが一般公開されます。この機会に、ぜひ実物のカプセルをご覧になっていただきたいと思います。小さなカプセルですが、実物、本物だけが語りかける真のメッセージを、その眼で感じ取ってほしいところです。

「はやぶさ2」 再突入カプセル (C)JAXA

この帰還カプセルの開発は、1995年からはじまった一連の「はやぶさ」プロジェクトの中で、もっとも難しい課題の一つでした。何しろ、当時の日本では、まだ宇宙空間――といいますか、地球周回の低高度の軌道上からでさえ、何かを降ろして、それを地球上で回収するという経験が、ただの一度もなかったのです。驚くような本当の話です。

ですから、当時、小惑星からサンプルを収集して、それを地球上で回収するという計画は、まったくめちゃくちゃな提案、はったりの計画といわれかねなかったわけです。

 

「はやぶさ2」のカプセルは、2020年12月6日の早朝、ウーメラ砂漠で回収されました。

再突入カプセルは、予定通りオーストリアのウーメラ砂漠に帰還。回収作業はスムーズに行われた。JAXAのスタッフによるカプセル回収作業の様子。 (C)JAXA

このカプセルは、基本的には初代「はやぶさ」と同様の設計です。大きさも変わりません。今回、非常にスムーズに回収が行われたように見えますが、実は思いもよらぬ苦労がありました。コロナ禍によって、カプセルを回収するスタッフは、日本出国前に2週間の隔離、オーストラリア入国後に2週間の隔離、そしてさらに、日本帰国後にはまた2週間の隔離を克服しなければなりませんでした。その努力には脱帽です。

しかも、南オーストラリア州の現地では、ロックダウンが起きてしまうという異常な状況です。誰がこのような事態を想定したでしょうか。世界中がコロナで混乱する最中、それでも非常にスピーディにカプセル回収作業ができました。みなさんの任務遂行への熱い思いは、賞賛に値すると思います。

関連記事

編集部からのお知らせ!
SPONSORED

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/