認知症になった親の「銀行預金」が引き出せない…認知症社会・日本のヤバすぎる現実

昨今、認知症の増加に伴い、認知症の方の預金口座について、家族や親族が代理で引き出せないことについて銀行側とトラブルとなるケースが増えていた。これを受け、去る2月18日に全国銀行協会(全銀協)より、認知症患者の預金を家族などが代理で引き出す場合について、加盟する銀行に柔軟な対応を求める考え方が示された*1。本稿ではこうした指針が出されたことによる変化について解説する。

認知症が進行すると「意思能力」が低下する

認知症が進行してしまうと、文章を読んだり、相手の話を聞いて理解したり、意思表示をしたりすることが十分にできなくなる。その場合、法律上では、十分な判断能力がない状態、「意思無能力者」の状態とみなされる。このような状態になってしまうと、商品の購入、サービスの契約、預金の引き出しなど、法律行為とみなされるものが全てできなくなり、日常生活に大きな影響を及ぼすことになる。

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銀行の預金の引き出しは、預金者本人の意思確認が必要になるので、本人以外引き出すことができないというのが原則である。そのため、上述のように、認知症により意思無能力者となった方の預金については、本人はもちろん、その家族も引き出しができなくなってしまうという問題が生じるのである。

銀行側としても、安易に家族や親族の代理を認めるのは難しい。本人の家族や親族であったとしても、本人が認知症であるのをいいことに、預金を勝手に引き出して悪用する人が出てこないとは限らないからである。そのため、これまで銀行側は、こうした認知症が進行した人の預金の引き出しについては、「成年後見制度」を利用するよう促していた。

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