あの怪我がなければ人として終わっていた

その後のインタビューで当時のことを、「あの怪我がなければ人として終わっていた」と語っていた鈴木選手。その言葉の真意はどのようなものだったのか。

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「2016年以降、いろんなプレッシャーを自分で抱え込みすぎて、野球が楽しくなかった時期がありました。打席に立つのも嫌だし、ヒット打っても嬉しくないし、勝っても嬉しくない。そんなときに怪我をして入院したんです。すると、そこで病院にいる子たちが一生懸命リハビリを頑張っている姿を見ました。完治したとしてもスポーツができない子だったり、また病気にかかってしまうリスクを抱える子どもだったり、そういう子たちがたくさんいて。

怪我をしたこと自体にイラついて『なにやってるんだろう』と悶々としながら僕がリハビリをしているときに、子ども達が『頑張ってね』一緒に頑張ろうね』と声をかけてくれました。もう感動して、自分が小さくみえましたね。僕は好きな野球を仕事としてやれているのに、何をこんなしょうもない事で悩んでいるんだろう。子ども達は病気と向き合って前向きに頑張っているのにと痛感しました。子ども達からすごく勇気をもらったんです。それから『もっと野球ができる事に感謝して、出会った子ども達のためにももっと頑張らないといけない』と野球に対する想いがまた変わりました。

もしあの怪我があっても入院していなかったら、そのままズルズルやっていたら、選手として終わっていたかもしれないと思うくらいひどい精神状態で野球をやっていたので、あの怪我があってよかったと今でも思っています」

この答えが意外だった。なぜなら鈴木選手が野球をとにかく愛して大好きでやっており、だからこそ努力し続けてきたことを聞いていたからだ。短い間に鈴木選手をそこまで追い詰めたのは果たして何だったのだろうか。

ベッドで動けなかったからこそ学んだことがあったという Photo by iStock