プロ野球選手の「その後」を考えていた

ドラフト会議が終わったその日。プロ入りに歓喜している選手たちが多かったであろうこの時、鈴木選手はいつもと変わらず練習をしたのだという。

「高校の監督に『やれても10年。人一倍努力して、だめならやめて他のことをやればいい』と言われたんです。僕自身も同じ考えで、10年後に絶対後悔しないよう人一倍練習して、だめだったら野球をやめてまた違う生活をしようと思っていたんです。だから不安もないし、ただやるだけだなと。

プロ入りしてしまえば順位は関係ないと思っていました。そして指名を受けた選手がきっとホッとして休むと思ってたので、『今が追い抜くチャンス』だと思っていました。みんなが寝ている時、遊んでいる時に練習する、その積み重ねでいつか追い抜かせるんじゃないかって。幸い野球がすぐできる環境にあったので、思いついたことはとりあえず試してみようと、門限ギリギリまで練習をしたり。入団後3、4年そうやって頑張ってきたから、今の自分があるんじゃないかと思います」

本人も予想外の2位指名を受け、夢のプロ入りができてもなお、鈴木選手は浮かれずに地に足をつけていた。その貪欲な姿が鈴木選手を成長させたのだろう。

才能がある選手たちも、そのままでは結果は残せない。鈴木誠也選手のドラフト同期は大谷翔平選手。ともに甘んじずに努力を続けているからこそ今の活躍がある Photo by Getty Images
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大活躍の翌年に襲った大けが

鈴木選手を一躍野球ファン以外にも有名にしたのは、広島カープが25年ぶりのリーグ優勝を遂げた2016年のこと。終盤では5番ライトに定着し、優勝に大きく貢献、「神ってる」の緒方監督のコメントが流行語大賞をとると、鈴木選手が授賞式に登場した。

そんな活躍を経て、迎えた2017年。鈴木選手はWBCの日本代表に選出されたものの、8月22日の対DeNA線で右脛骨の剥離骨折を負い、全治3ヵ月と診断を受けた。チームは2年連続8度目のリーグ優勝を果たしたが、手術を受けた鈴木選手のシーズン中の復帰は叶わなかった。