食べたい欲求の元にあるものは?

時間はかかったが摂食障害が回復した今、アルコール依存やギャンブル依存など何らかの依存症などに陥る仕組みと『ダイエットに異様に執着してしまうこと』や『食べ物依存に陥る』という仕組みがとてもよく似ているな、と思うようになった。

人間は『満たされない何か』『抑圧された何らかの感情』によって心のバランスが傾くと、それを支えるために、中毒性が高い極端な行動をとることがあるといわれる。人によっては、その『何か』は異なり、芸術や音楽などポジティブな表現に昇華していく場合や「推し」にハマることで満たす人もいる。

-AD-

しかし、その行為が側から見て常軌を逸した行為であると、周りから批判を受けやすく、自己処罰感を抱きやすい。「またこんなことをしてしまった」「自分は弱い」と自分自身を攻撃しするループに陥ってしまうのだ。

過食症の頃、よく食べていたジャンクフードなどは、味付けが濃く、カロリーも高く、俗に、食べすぎると脂肪がつきやすいと言われるものばかりだった。これらの刺激が強い食べ物は、脳が快感を覚える『脳内報酬系』の神経回路が刺激され、依存性の高い食べ物だと言われている。そして、私たちの周りにはそういった「美味しく感じる」刺激的な食べ物があふれ、安易に、大量に手に入れることが出来きてしまう。

フードロスが問題視されるほど、現代社会、特に先進国では刺激的な食べ物が溢れている。photo/Getty Images

食べ物依存が、アルコール依存などよりもハマりやすく複雑化しやすい理由は他にもある。「食べる」という行為は、誰もが幼少期から慣れ親しんできた行為であり、栄養を得て生き続けていくために手放すことができないからだ。

ダイエットに関する情報でよく「小腹が空いた時は、スナック菓子ではなく煮干しやナッツを食べましょう」というものを見るが、『単純に小腹が空いている人』ではなく『スナック菓子を食べることが心の支えになっている人』にとっては、煮干しやナッツを食べたところで気分が落ち着くどころか、より心が荒んで必要以上に食欲が増す可能性もある。

食べ物依存に陥っている人が、『◯◯よりも△△の食材を選びましょう』『このドリンクで置き換えしましょう』というダイエット情報や栄養情報を参考に『頭でダイエット』をしようとすることは、アルコール依存症の人に「お酒よりも水を飲みましょう」と言ったり、ギャンブル依存症の人に「一攫千金を狙うよりも、地道に働きましょう」と正論を言っているのと似ていると思う。