photo by iStock

西川善文『仕事と人生』 仕事で悩むたびに読みたくなるバイブル

担当編集者が語る名著の所以
2020年9月に亡くなった三井住友銀行元頭取の西川善文さんの本『仕事と人生』(講談社現代新書)を、この3月に出すことになった。銀行という大組織を頭取として8年も率いてきた西川さんならではの仕事論・人材論だ。長く書籍編集者を続けていると不思議なことがあるもので、じつはこれは、原稿ができて7年経ってようやく陽の目を見ることになった本でもある。その間に時代は大きく変わった。にもかかわらず、編集にあたって原稿を子細に読み返せば読み返すほど、内容が古びるどころか、今こそ、こうした厳しいことを言ってくれる人の存在が求められていると感じられた。

「悪役」の器量

いまも記憶が生々しい方はたくさんおられると思う。

1990年代に入って始まったバブル崩壊による銀行の不良債権が、銀行の自己資本を危うくするほど悪化してしまったものの、雇用も給料も安定している銀行に、血税を原資とする公的資金を資本注入することに国民から疑問と批判が沸き起こった。

その最中に住友銀行を率いていたのが西川さんだった。

生き残りを賭けて不良債権処理と銀行合併に全力で突き進む様は、あまりにコワモテで、マスコミや国会議員から悪役のように扱われたが、さくら銀行との合併を果たし、三井住友銀行として現在も3メガバンクの主力として存在しているのは、間違いなく西川さんの業績だと言える。

 

なぜ名著なのか

その人の仕事論が面白くないはずがない。担当編集者なら皆そうだろうけれど、このほど現代新書で出した西川善文さんの『仕事と人生』は間違いなく名著だと思っている。

一口に名著といってもいろいろな定義があると思うし、それはビジネス書とノンフィクションと文芸作品ではまったく違うだろう。なのでここでは、ビジネス書としての3つの定義で名著だと思う所以を書かせていただきたい。

関連記事