日本の若者が深い友人関係を築けなくなった「決定的理由」

冷たい友人関係が蔓延している
飯田 一史 プロフィール

「人それぞれ」で処理する冷たい距離感

――90年代中盤以降生まれのいわゆる「Z世代」の友人関係の特徴は?

石田 物心ついたころから友人関係がデジタルに可視化されているのが特徴的です。友達やフォロワー、「いいね!」の数にしろ「グループ」にしろ、SNS普及以前までは明確な線引きはなかったものが、すべて目に見えます。自分がどの輪の中に登録され、送ったLINEに対して誰の返信がいつ来たのか/来なかったのか、あるいは、ある友人と別の友人が遊びに行っているのに自分は誘われていなかったことまでが見えている。これまでグレーゾーンで処理してきた部分が露骨に見え、線引きされてしまう。

 

――スマホを使ったコミュニケーションでは、友達同士でしていたつもりの秘密のやりとりが、仲違いなどをきっかけに第三者に流出するかもしれない可能性もありますよね。

石田 ですから関係を維持するために、より本音が出しづらくなり、より気を遣う機会が増えています。しかも今の10代~20代前半は中高時代にすでにスマホを持っていて、それがなかった時代がどんなものだったのかを知らない。人とオンラインでつながっていない状態を想像すること自体が難しくなっていて、こまめに連絡を取っていないと不安を感じる。それでいて、不用意に他人の事情には立ち入りません。

――というと?

石田 大学で教えていて感じますが、若い人は「人それぞれ」という言葉が好きです。誰かが何かを言ったりやったりしたことに対して「人それぞれだからね」という処理の仕方をする。これは他人の意見や多様性を尊重しているようでいて「私は関わりません」と言っているのに非常に近い。議論してもらっても「人それぞれだから」で終わってしまって意見が深まらない。

ほかにも「困ってるみたいだから、本当だったらやってあげたほうがいいんだろうな」と思っていても「人それぞれだから」踏み込まない。たとえば「サークル、やめようと思う」と言われたとしても、本人が理由を言わないかぎりは深く聞かないし、引き留めない。淡泊です。逆に何か相談したい、支援してほしいと思っている側も友人関係を維持するためにこそ遠慮して事情を話さず、助けを求められない。
「人それぞれ」という距離の置き方が主流になってしまっている状態では、本音で意見を交わすことも、ケンカをすることもとても難しい。関係性の修復が約束されておらず、あっさりと切れてしまうわけですから。

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