グリーンランドの衛星写真 Photo by gettyimages

忘れられた極秘核ミサイル計画の「遺産」…冷凍庫の奥のサンプルから見つかったものとは?

冷凍庫で忘れられていた「氷床コア」

冷凍庫の奥から、すっかり忘れていたものが出てくることはよくある。

2018年末、デンマークのコペンハーゲン大学で、研究者が冷凍庫に保管された氷床コアを整理していた。グリーンランドや南極で降り積もった雪が夏でも解けず、長い時間をかけて氷になったのが「氷床」で、グリーンランドの氷床は厚さが平均1500mある。この氷床を専用ドリルで掘って採取した、円筒形の氷のサンプルが「氷床コア」だ。

氷床コア Credit: NASA's Goddard Space Flight Center/Ludovic Brucker

そうした氷床コアのコレクションを古い冷凍庫から新しい冷凍庫に移動させようとしていたとき、思いがけないものが見つかった。今から50年以上前、1960年代後半にグリーンランド北西部で、厚さ1000メートル以上の氷の下から採取された土壌のサンプルだ。

氷床の下の地面は、氷の移動によって削りとられていることが多い。しかし米バーモント大学の研究チームがこの土壌サンプルを顕微鏡で調べると、土の中に葉や小枝、コケの化石が見つかった。分厚い氷の下に、過去の地面がそのまま残っていたのだ。

氷床の下の土壌に含まれていた、過去の植物のかけら Credit: Andrew Christ and Dorothy Peteet, CC BY-ND

バーモンド大学を中心とする国際研究チームがこの植物の化石や土壌をさまざまな方法で分析した。その結果、グリーンランド北西部では過去100万年以内に少なくとも一度、氷床が地面まで完全に解けていたことを明らかにし、3月15日にアメリカ科学アカデミー紀要に発表した※1。 

その時期として一番可能性が高いのは、比較的温暖だった40万年前だ。グリーンランドの大部分で氷床が解け、コケや地衣類の育つツンドラが広がったと研究チームは考えている。トウヒやモミなどの木々もあったかもしれない。

グリーンランド東部に広がるツンドラ。こんな風景がグリーンランド全域で見られたかもしれない Credit: Hannes Grobe, CC BY-SA 2.5

地球では最近数百万年にわたって氷期と間氷期が繰り返している。その間、温暖な時期でも解けずに残っていたと考えられてきたグリーンランドの氷床だが、実は気候変動に対して予想以上に敏感に反応していたというのが研究チームの結論だ※2。 

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