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# 政治

菅総理「長男接待騒動」のウラで報じられないマスコミの「接待担当」たち

なぜ、こんなことが許されるのか

核心はもっと根深いところにある

総務省官僚たちが、菅義偉首相の長男が勤務する総合映像プロダクション「東北新社」から数十回にわたって高額な接待を受けていた件で、国会が紛糾している。

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2月24日の総務省の発表によれば、接待を受けて処分された官僚は11人で、接待を受けた回数は延べ38回だった。この他にも、元総務省の内閣広報官が、7万円超の接待を受けていたとして、辞職願を提出している(原稿執筆時。その後3月1日に辞職)。

これは'90年代後半に持ち上がった大蔵省(現財務省)の接待汚職スキャンダルを彷彿させるものがある。ただし、今回の場合、接待金額をみると、贈収賄の捜査対象となる50万円を超えるような事態は生じておらず、大規模な事件には発展しないだろう。

しかし、今回の事件の核心は、単に「首相の長男が総務省官僚を接待した」という表面的な部分ではなく、もっと根深いところにある。テレビ局と所管官庁である総務省をつないでいる各局の「波取り記者」たちの存在だ。

彼らは「記者」とはいうものの、実際には取材はほとんどせず、電波・放送利権確保のために行政に対しロビイングをする。つまり、総務省への接待窓口を担う存在というわけだ。

一般に、先進国では新聞がテレビ局を支配下に置くことは認められていない。しかし、日本ではテレビ各局がほぼ新聞の系列会社となっているので、波取り記者は新聞とテレビの両方に存在する。

前述の大蔵省スキャンダルでは、「MOF(大蔵省)担」と呼ばれる金融機関の社員たちが、大蔵省官僚の接待窓口になっていたが、汚職の発覚とともに、その存在は一掃された。しかし、波取り記者は、いまだに大手を振って歩いている。

今回、総務省では接待の状況を「東北新社」の事例だけに絞って調査しているが、これは甘いのではないか。本来は、すべての放送事業者に向けて、徹底的な調査を行うべきだろう。

 

そうすれば、波取り記者の実態も明らかになるだろうし、放送事業者と総務省の関係も明るみに出るはずだ。しかし、既存のマスメディアからそうした議論が一向に出てこないのは、やはり自分たちの既得権益が侵害されることを恐れているからだろうか。

こうしてマスコミに苦言を呈したうえで、改めて今回の総務省接待を眺めてみると、官僚たちの脇が甘すぎると言わざるを得ない。

汚職問題への反省として'00年に施行された「国家公務員倫理法・倫理規程」では、利害関係者から接待を受けることは固く禁じられている。

仮に割り勘をするにしても、金額が「1万円」を超える場合は、倫理監督官へ事前の届け出が必要になる。総務省官僚がそのことを知らなかったはずがなく、みすみすご馳走になっていたというのは「セコい」としか言いようがない。断れなかったというのは、言い訳にならないだろう。

総務省調査によれば、7回の接待を受け、更迭された秋本芳徳・前情報流通行政局長は、自腹分を引いて約6万4000円分の利益供与を受けていたとされる。たかだかその程度の金額で、築き上げてきた地位をすべて失ったのだからきついお灸が据えられたことになろう。

『週刊現代』2021年3月13日号より

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