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コロナ禍でしんどかった私を救ってくれたのは息子だった

生涯忘れない2020年のこと

コロナ禍で当たり前が崩れ、日常生活を送ることもままならなくなった。そんな子どもたちに向けた掌編連載「Story for you」がこのたび書籍化された。ライターの飯田一史さんがとくに印象深かったという2本とは?

2020年のことは生涯忘れないだろう。

それでも時間の流れとともに、細部は忘れていくのだと思う。

『Story foy you』を読んでとくに印象深かったのは矢崎存美「物語は踊る」と令丈ヒロ子「あしたはあしたで、若おかみ」だ。

このショート・ショート集には新型コロナウイルスのことを直接的に扱った作品もあれば、そうではないものもある。個人的にはコロナ禍の生活について書いた作品のほうが胸に響いた。2020年春に発令された一度目の緊急事態宣言のときの記憶の細部を思い出させてくれるからだ。

 

緊急事態宣言下の「救い」

「物語は踊る」では、学校が休校になった陽菜と、営業を自粛して浮かない顔をしながらやはり家にいる父母の姿が描かれる。

私の息子(当時4歳)も緊急事態宣言下で保育園が休園になり、私も妻もずっと家にいて交替で面倒を見ていた。半日も働くことはできず、それでも回ってしまうくらいに仕事が減った。先が見えず、しんどかった。焦りを感じながらも救いになったのは、子どもが『マインクラフト』で建物や洞窟を作ったりして「見て見てー、すごいでしょ?」と笑いかけてくるときだった。

だから、陽菜が創作した物語を見て笑顔になった母親の気持ちと、自分の姿を重ねて読んでしまう。

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