2021.03.25
# 鉄道

地方鉄道は今後も必要なのか?三陸沿岸の住民と鉄道関係者に聞いた「本当の声」

「命の道」三陸道開通で生活が変わった
川辺 謙一 プロフィール

時代の変化への対応が必要

日本では、戦前まで交通政策が鉄道偏重で、道路整備がないがしろにされたため、自動車交通の発達が欧米よりも大幅に遅れた。三陸鉄道をはじめとする地方の鉄道の多くは、そのような自動車が未発達だった時代に計画された遺産である。

ところが戦後になると、交通政策が大きく変わり、1950年代から道路整備が本格化し、1970年代には輸送シェアで自動車が鉄道を追い抜いた。

今では、円滑な自動車交通を実現する幹線道路や高速道路があり、地方ではマイカーを家族または個人で所有することはめずらしくない。三陸道は、戦後になって計画された高速道路網の一部であり、東日本大震災後に急ピッチで整備され、復興を加速させた。

人間には変化を嫌う傾向があるので、これほど大きな交通の変化に逆らってでも、先人の遺産である鉄道を残し、現状を維持したいと思う人がいても不思議ではない。ただ、今後日本では人口減少が全国的に進むいっぽうで、高速道路はまだ延び続ける。鉄道を残すうえでは不利な変化が押し寄せているのだ。

このような時代に地方鉄道は本当に必要なのだろうか。その判断を国や鉄道事業者に一方的に任せ、批判するのはかんたんだ。しかし、われわれが鉄道や交通に対して当事者意識を持ち、その変化に応じた将来を考えなければ、地域交通の崩壊、そして地域社会の崩壊という最悪のシナリオが待っている。

 

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