2021.03.25
# 鉄道

地方鉄道は今後も必要なのか?三陸沿岸の住民と鉄道関係者に聞いた「本当の声」

「命の道」三陸道開通で生活が変わった
川辺 謙一 プロフィール

高速と鉄道が食い合う状況

かつて三陸沿岸では、クルマでの移動が不便だった。海沿いの幹線道路(国道45号)は、リアス式海岸の起伏ある地域を通るため、カーブや坂が多く、ドライバーにとっては運転しにくかった。

三陸道の開通は、その状況を一変させた。カーブや坂が少なく、交差点がない高速道路ができたことで、国道45号経由よりもスムーズなドライブが可能になり、仙台・宮古間の所要時間が半減。これによって三陸沿岸の都市の多くが、仙台から日帰りできる範囲に入った。

筆者は学生時代を仙台で過ごし、開通前の道路状況を知っていたので、初めて三陸道でのドライブを体験して隔世の感を覚えた。

「三陸道の開通でお客様の層が変わった」と宮古市街のビジネスホテルの従業員は言う。

震災後しばらくは復興事業の作業員が多く宿泊し、連日ほぼフル稼働で、岩手県内からの客が大部分を占めていた。近年は復興事業が一段落して混雑が緩和したものの、三陸道開通後は宮城県、とくに仙台からの客が増えたという。

3月6日に開通した気仙沼横断橋/筆者撮影
 

このような高速道路網の充実は、鉄道が衰退する大きな要因になりうる。たとえば千葉県南部では、東京湾アクアラインの通行料金値下げや、館山自動車道などの高速道路の延伸によって鉄道の利用者が減少し、房総半島南端の館山駅を発着する特急列車が全滅した。

和歌山県では、阪和自動車道の延伸とコロナ禍によってJR紀勢本線の利用者数が減少し、特急「くろしお」が減便された。同様の例は、全国各地に存在する。

ならば三陸鉄道も影響を受けると考えられるが、ある鉄道関係者は「客層が根本的に違う」と指摘する。千葉県南部や和歌山県のJR線は「特急街道」として都市間輸送を担ってきたのに対して、三陸鉄道はそれを担っているとは言えないからだ。

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