Photo by Icas94 / De Agostini Picture Library via Getty Images

「質量保存の法則」を発見した“近代化学の父”は非業の死を遂げていた

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

革命の狂騒に斃れた「近代化学の父」

1794年の今日(5月8日)、「近代化学の父」と呼ばれるフランスの化学者アントワーヌ・ラヴォアジエ(Antoine Lavoisier、1743-1794)が処刑されました。

ラヴォアジエはパリ大学の法学部に進学して弁護士の資格を得てから化学者に転身した、まさに「文理両道」の経歴の持ち主です。彼は25歳でフランス科学アカデミーの会員となってから非凡な才能を発揮し、実験によってそれまで定説とされていた「フロギストン(燃素)説」を否定しました。

当時、物が燃える理由は、物質中に含まれる「フロギストン」という物質が空気中に放出されるためとされていたのです。しかしラヴォアジエが行った実験では、燃焼によって質量がふえることが見出されました。これは「フロギストン」が物質から出ていくという説とは矛盾する結果です。

同時代のプリーストリーとも意見を交換しながらラヴォアジエはさらに実験を繰り返し、燃焼が起こるのは物質が吸気中の“ある気体”と結合するためだと結論付けました。ヴォアジエが「酸を作る元素」と名付けたこの気体こそ、燃焼の肝である「酸素」だったのです。加えて彼は、化学反応の前後で物質の質量は変わらないという「質量保存の法則」を発見しました。

しかし、1789年のバスティーユ牢獄襲撃から始まったフランス革命で、ラヴォアジエの運命は暗転します。一時期、王制政府の下で徴税請負人を務めていた経験が「市民を苦しめる王の手先であった」として、革命政府から非難されたのです。フランス全土に粛清の嵐が吹き荒れる中、彼は即決裁判によって死刑判決を受け、その日のうちに断頭台の露と消えました。

同時代の天文学者・ラグランジュは、「彼(ラヴォアジエ)の頭を切り落とすのは一瞬だが、彼と同じ頭脳を持つ者が現れるには100年かかるだろう」と、その早すぎる死を惜しみました。

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