泥沼のミャンマー情勢…「再クーデター」という究極の決着はあり得るか

国軍記念日の軍事パレードに注目
大塚 智彦 プロフィール

このまま座して死を待つのか

「反軍」「反クーデター」を掲げてデモや集会を行ってきたミャンマー国民だが、これまではスー・チーさんの唱える「非暴力抵抗」に徹してきた。

下を通過すると悪いことが起きるとの言い伝えがある女性用民族衣装の「タメイン」を道路上に吊り下げたり、兵士が踏みつけることができないようにとミン・アウン・フライン国軍司令官の顔写真がプリントされたコピー紙を路上に隙間なく貼り付けたり、毎晩午後8時になると家庭で鍋釜を叩いて騒音をだしたりと、知恵を絞ってあの手この手で「抵抗」してきた。

しかし当初は放水、ゴム弾などで対処していた軍・警察は、次第に実弾発砲による射殺という最終手段に移行しはじめている。拘束され後日家族の元に戻された与党「国民民主連盟(NLD)」関係者の遺体の顔面には劇薬によるとみられる激しい火傷の痕があったとの情報もあり、あらゆる方法での暴力行為、拷問、殺害が行われているという。

Gettyimages

以前は午前1時から同9時までだったネット遮断も終日に拡大され、軍はミャンマーで起きている実状が国際社会に発信されることを極端に警戒している。ミャンマー国内の主要メディアは活動禁止処分を受けるとともに事務所家宅捜査、記者の拘束が相次いでいるという。

そうした軍による報道統制、情報発信妨害にもかかわらずインターネット上には連日、国民の抗議活動と軍の残虐行為の写真、動画がアップされている。

えんじ色の衣を着用した仏教僧侶が連行される様子や殺害された市民、負傷者を運び去る兵士、警察車両に乗り込んだ陸軍兵士の写真、炎上する建物、逃げ惑う市民の様子は連日発信されている。

ロイター通信は16日、地元ニュースサイトの情報として戒厳令が敷かれたヤンゴン郊外のラインタヤ地区から市民数千人がオートバイや三輪自動車などで地区外に脱出する様子が相次いだと伝えた。

同地区では14日だけで40人以上が殺害され、工場などへの放火による混乱状態が続いており、市民は「ここはまるで戦闘地帯だ、各所で発砲が起きている」と話しているという。

 

ミャンマーはいま、各地が「戦闘地帯」つまり「戦場」と化し、実際に軍が行っているのは治安維持とか鎮圧のレベルではなく、間違いなく「戦闘」なのである。それも相手は女性や子供、僧侶までを含めた非武装の無辜の人々なのである。

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