泥沼のミャンマー情勢…「再クーデター」という究極の決着はあり得るか

国軍記念日の軍事パレードに注目
大塚 智彦 プロフィール

少数民族武装組織、武装市民との内戦化

クーデターに反対する国民のデモや集会、抵抗活動が拡大し、公務員や銀行員、医療関係者、公共交通機関関係労働者などによる「不服従運動(CDM)」も全土に広がりをみせ、市民生活だけでなく経済活動にも深刻な影響が出ている。

こうした事態に対して、当初は静観していた警察の一部からも公然と反軍を唱える声があがりはじめ、職場放棄や就労拒否、さらに軍の追及を逃れるために隣国インドへの避難という事態も起きているという。

海軍や空軍はこれまでのところ市民弾圧には直接関与していないといわれ、事態の悪化、残虐化の中で今後どういう対応をとるのか、「静観は加担である」とも見方もあるだけに注目されている。

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主に陸軍兵士による市民虐殺に正面切って抵抗できるのは、同じく「武装集団」である警察や軍であることはいうまでもない。日々悪化する状況にいつまで静観をつづけるのだろうか。

さらに、ミャンマーの少数民族で構成される武装勢力の連携による軍との対決の可能性も取りざたされている。

少数イスラム教徒であるロヒンギャ族が多数在住していた西部ラカイン州で軍と戦ってきた「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」や、少数民族武装組織「アラカン軍(AA)」、さらに北部カチン州の「カチン独立軍(KIA)」、東部シャン州の「シャン州軍(SSA)」などである。

軍はクーデター後にAA軍などのテロリスト指定を取り消したとされているが、AAやARSAは軍とこれまで激しい戦闘を繰り返してきた経緯があり、ミャンマー国民と連携して軍と対決する可能性も残されている。

KIAは3月11日にカチン州パカンの軍基地を襲撃、占領した。その後戦闘が断続的に続いているとの報道も流れていることから、自らの権益保護と同時に多数のミャンマー国民のために軍への攻勢を強めているとの観測が広がっている。

こうした少数民族武装組織はこれまで歴史的に軍による激しい弾圧、迫害、人権侵害を受けてきただけに、今後、各組織が連携して軍と全面対決するウルトラCへの期待も高まっているという。

さらにヤンゴンでは、「自衛のための戦いは犯罪ではない」との合言葉が抵抗を続ける市民の間でも伝えられているという。

軍による一方的な殺害を伴う鎮圧に「もはや徒手空拳では抵抗できない」との思いが募った末のことだと思われるが、こうした機運が高まり、拡大していけば一般市民が兵士から奪取したり、同情的な警察や軍から流れた武器を手にして立ち上がったり、というシナリオも、あながち否定はできないだろう。

 

いずれのシナリオも内戦状態となり「流血の惨事」「さらなる市民の犠牲者」は不可避となる。だが、現状のままでも流血と犠牲は増大する一方であり、多数市民による抵抗運動も「現状維持か戦法の転換か」を遠からず迫られることになるのは間違いないといえるだろう。

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