泥沼のミャンマー情勢…「再クーデター」という究極の決着はあり得るか

国軍記念日の軍事パレードに注目
大塚 智彦 プロフィール

米国、中国という外国勢力の介入はあるか

ヤンゴン周辺では最近、放火による火災が相次いでいる。中国資本の工場も被害を受けたことから、中国政府はミャンマーに対し「中国資本の保護」を強く申し入れた。これに応じるように軍は火災発生地域など複数地区に戒厳令を発令し、軍が強大な権力を行使できる素地を作った。

こうした事態が「中国の介入」を招来することが十分予想されたことから、「放火」は反軍を訴える市民ではなく、軍や警察といった当局の「やらせ」ではないか、との見方が強まっている。

現地からの情報では、放火の実行犯、実行グループは依然として断定されていないという。

Gettyimages

中国政府はクーデター発生直後からミャンマー軍を厳しく批判する姿勢を控え、ひたすら「法的手続きによる秩序回復」を訴えてきた。そして、マラッカ海峡を経由することなく中東から中国本土にエネルギー供給が可能となるミャンマー沿岸部チャウピューから中国雲南省に通じる「パイプラインの保護」を軍に強く要請してきた。

それだけに今回のような中国資本の工場への放火という「(中国にとって)看過できない行為」が続けば、ミャンマー国内の中国人、中国権益保護という「大義名分」を掲げて今後さらに介入してくる懸念が高まっている。

もちろんそれにはミャンマー軍からの「要請」が前提条件となるが、国際社会での孤立が顕著になり、頼みの綱がもはや中国だけという現状からしても、軍が中国に「支援要請」する可能性は十分に考えられる。

一方、ミャンマー国民の間ではこれまで数々の紛争に武力介入してきた米政府に具体的な行動を望む声も一部では出ているという。

そういえば映画『ランボー最後の戦場』(2008年公開)は、米軍ベトナム帰還兵のランボー(シルベスタ・スタローン)がミャンマーに潜入して縦横無尽に活躍、抑圧された少数民族とキリスト教系NGOの人質を解放するというストーリーだった。

あくまでこれは可能性の問題だが、政権末期でレイムダック状態だったトランプ前政権であれば、平和維持、人権擁護、外交での実績を名目とした限定的な武力介入を少なくとも検討する余地はまだあったかもしれない。

しかし、バイデン新政権はいくら対中強硬姿勢といえどもミャンマー問題に実力で介入する可能性はほぼないといえるだろう。それはミャンマー軍の後ろ盾となっている中国との全面対決を覚悟する必要がある、ということであり、発足間もないバイデン政権にはそこまでの「リスク」を抱え込む「義侠心」はないだろうと思われるからだ。

 

つまり、現下のミャンマー情勢では、外国勢力が介入して事態が収拾されるというシナリオはほとんど考えられない。唯一中国が「軍の要請」に基づいてなんらかの行動をとる余地はあるものの、それは大多数のミャンマー国民が望む方向でないことだけは確実だ。

編集部からのお知らせ!

関連記事