2021.03.20
# ゲーム

「あつ森」発売から1年…いまだに売れ続ける「怪物」ゲームのスゴすぎる販売戦略

将来への「種まき」も
河村 鳴紘 プロフィール

目先の利益にとらわれない

東京・渋谷にオープンしたオフィシャルストア「Nintendo TOKYO」/photo by gettyimages

ビジネスで言えば、長く売れ続けるロングテールの商品は理想的です。たくさん売れることも大事ですが、それ以上に長く安定的に売れ続けることがビジネスの重要なポイントでもあります。

そのような商材(ソフト)は、ゲーム販売店の店頭にも長い期間置かれますから多くの人の目に入りますし、プロモーション映像も流してもらえます。更に売れ続け、ソフトのブランディングもアップします。

こう書くと、「面白い新作ゲームが次々と出て、バンバン売れて販売ランキングが入れ替わる方が理想的」という声もありそうです。新作ゲームが次々と出て、ユーザーが短期間でどんどん買いそろえると、ゲームメーカーにとって売上高も伸び、顧客単価もアップしますから、その通りかもしれません。

しかし、ゲームに熱中するのは何もコアユーザーだけではありません。スマホゲームを遊ぶライト層の方が圧倒的に多く、ゲームをしない層も相応にいます。そして「ニンテンドーDS Lite」や「ニンテンドースイッチ」の社会的なヒットを見たら分かる通り、ライト層を取り込んだときほど、そのパワーはすさまじいものがあります。

ただし、ライト層の取り込みはそう容易いものではありません。話題のソフトを買ったものの、すぐ飽きて「5000円の価値がある?」と思われただけで「ゲームオーバー」です。ライト層に「スマホゲームのほうが安くて(無料で)良い」と思われたら、パッケージゲーム(専用ゲーム機)の負けなのです。

 

日本人の所得が伸び悩む中、趣味に費やせるコストは落ちています。そんな時代で顧客単価の向上に固執しすぎることは、ビジネスにおいて“命取り”になりかねません。バランスは極めて難しいといえます。

購入した商品を長く遊んでもらい、かつ収益を高める……というなかなかの難題です。「飽きないコンテンツはない」というのはその通りですが、ディズニーのように長く愛されているコンテンツはあります。「どうぶつの森」シリーズは、ディズニーの域を目指せるコンテンツだと筆者は思えるのです。

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