一糸乱れぬパフォーマンスの裏には…

ここまで曲と歌詞に触れてきたが、次はパフォーマンスだ。特にライブ映像は観ていてとにかく楽しい。自然と手足が動いてしまい、あっという間に時間が過ぎていく。

BTSがグローバルアーティストになった今、ライブに関しては観客動員数やツアーの規模、オンラインライブのビューイング数など記録的なことが一番に取り上げられがちだが、そこだけ切り取られてしまうのは(もちろん素晴らしいことなのだけれど)彼ら自身の凄さがきちんと伝わっていないのではないか思うときがある。だって、あれだけのすごいパフォーマンスをしているのだから。

個人的な感想だが、ダンスの振り付けは7人のチーム感を意識したものが多く、そのシンクロ率は唖然としてしまうほど高い。けれど、振りを合わせるために動きが小さくなるわけでもなく、むしろ大胆でダイナミック。ゆえに1曲の運動量がハンパない。体力温存なんて言葉は彼らにはないと思う。曲が終わってもしんどい姿は見せない。恐るべし、プロ根性だ。

これはやはり体力トレーニングやダンス練習など、日々の積み重ねの賜物だと思う。この完璧なパフォーマンスの裏には、私たちには計り知れない血の滲むような努力があるはずだ。過去のSUGAさんのコメントに「僕たちは決して才能に溢れたグループではないです。ですが努力する才能はあるかもしれない」とあるが、彼らの姿を見ていると、自分たちの努力を持って、近道をすることなく、夢を現実のものにしてきたように思う。

同ツアー日本公演の最終公演となるBTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF' ~JAPAN EDITION~ at 福岡ヤフオク!ドーム〈2019年2月福岡公演〉©Big Hit Entertainment All rights reserved. 

パフォーマンスの話に戻ると、歌詞を可視化させたような振り付けや演出も素晴らしく、曲をより深く楽しめる要素でもある。「あの曲はこう体現されるのか」と感動しつつ、BTSの世界観にどっぷり浸ることができる。また、どの曲にも印象的な振りがある点も注目だ。

そんな見どころ満載のダンスをしながらも、息切れや手ブレで歌唱が乱れることがないのもすごいことだといつも感心してしまう。歌手なら当たり前のことなのかもしれないが、あの激しい動きを見ていたら尋常じゃないことのように感じる(ってか尋常じゃないと思う)。

また、聴く側が音源慣れしてしまっていると、生歌を聴いたときに「あれ?ちょっと違う」など違和感を感じることもあると思うのだが、それを感じたことがこれまでにないことにも驚く。

そして何より、ライブ映像を観ていて一番気持ちよく感じることは、彼ら自身が誰よりもライブを楽しんでいること。歌って、踊ることが本当に大好きなグループなのがよくわかる。それゆえ、画面越しでも伝わる熱量がすごい。だから、こちらの楽しさも一気に倍増するのだ。

バキバキに踊ってクールにキメていたと思ったら、MCではくしゃくしゃの笑顔でトークを交わし、時には感動して思いっきり涙を流す。また、ワールドツアーでは、地域によってライブ構成を変えたり、その地域の言語を一生懸命覚えて会話したり、その結果、ファンの盛り上がり方の表現が違ってくるため、同じツアーでも、同じ曲でもいろいろな楽しみ方を提供してくれる。おすすめを聞かれても一つに絞ることはできないが、ライブ映像は国内外くまなく観てほしい。

ダンスと歌の技術力の高さはもちろん夢中になる要因だが、そういったギャップや素の部分、ファンへの向き合い方が観られるのもライブの醍醐味であると思う。と同時に、そんな姿を見せてくれる彼らに真心のようなものも感じる。

グラミー賞の授賞式後も、VLIVE(ライブ動画配信サービス)の生配信を行い、ファンに向けて自分たちの声でメッセージを届けてくれた。そのなかには、「本当に幸せで光栄な1日だったので残念に思わないでください」、「あまりにもすごいことを僕たち(とARMY)が共にしたので…これから僕たちがまた一緒に叶えることがあれば面白いでしょう?」「最近授賞式に出るととても嬉しいです。僕たちの名前が出るだけじゃなくARMYの名前も一緒に出て、僕たちは一緒に何かを刻んでいるんだなとすごく嬉しいです」など、受賞できなかったことに対してファンが悲しんでいるのではないかと気遣うコメントもあった。

そう、これがBTSなのだ。自分たちのことよりもまず一番にARMYのことを考え、行動する。優しく、頼もしく、謙虚で、前向きで…とにかく目が離せないグループなのだ。

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