出来なくなる現実との共存

ちょっと現状に目を向けてみましょう。治療法を待っている私なのですが、出来ないことがドンドンと増えてきている状態です。ALSの特徴である進行性の病状の進み方は筋肉の量と動かす経路を衰退させるので、今出来ていることが出来なくなります。その出来なくなる時間はその人によって違いますが、ALSに罹患している患者は全員、色々な事が出来なくなっていく自分を体感しているのです。

ブラインドタッチで原稿を執筆していた津久井さん。現在は右手がうまく動かず、割りばしを口にくわえて一文字一文字打ち込んでいる。視覚入力など様々なことをためしている 写真提供/津久井教生
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出来なくなることが多くなってくると、工夫をしながらカバーしていく事になります。ALSはケガなどの回復と違って、リハビリが維持や機能の向上につながらない事は、私自身が体感しています。リハビリを頑張っても、機能が下降していくことに対応しなければならないのが厄介です。しかしながら、これもはっきりと体感しているのですが、リハビリをしなければしなかったで、機能は落ちるのです。

リハビリしても機能は落ちる、でもリハビリしなければ機能は落ちる、そして過度にリハビリを頑張りすぎるともっと機能が落ちる事がある。これがALSの特徴のようです、本当に「どないせぇ~ちゅ~んじゃぁ~」って感じのこの1年間のリハビリ生活でした。

変な言い方になるかもしれませんが、ALSが試練だとしたら「乗り越えられない試練はない」というよりも「乗り越えられない試練はある」という事で進行してくる病状(試練)に対応している感じです。今日この方法で出来ていたものが数日先には出来なくなることを理解しての対応なのです。

現在のリハビリの中心は、動かなくなってしまった手足の関節の可動の維持です。治験によって治療法が発見されて、新しい薬が承認され「ALSの特徴の筋肉が痩せるのが止まる」という事が起きた時、せっかく筋肉が復活しても関節が正常でなければ復活はない事になる。そうならないためにも可動域と体幹を維持していこうと思います。

介護をする妻とともに、津久井さんは現実を見ながら前に進んでいる。しかし、現実を見ることは誰にとっても簡単なことではない 写真提供/津久井教生

【次回は4月3日(土)公開予定です】

津久井さんのYouTube(津久井教生チャンネル)にて、リハビリ用具パワーアシストハンドについて語っている動画はこちら。↓