廃熱から音をつくりエネルギーに変換…革新的技術「熱音響エンジン」とはなにか

地球レベルの課題の解決を目指して

熱から音をつくりエネルギーに変換する。

理系科目が得意な人でも頭の中に「??」が並びそうなフレーズだ。その研究者が手がけるのは「熱音響現象」。熱の温度差によって音波を発生させ、そこから電力を得る新しい技術なのだという。

〈本記事は「F-Lab.」からの転載です。元記事はこちら

熱から音波を発生させ電力に変換する

「現在取り組んでいるのは、熱音響エンジンの開発です。エンジンといいながら、ピストンなどの機械的な部品は一切なくて、あるのはパイプと『コア』と呼ばれるフィルター状の細管の束だけ

コアを中心として、コアの片方の空気を高温に、もう片方の空気を低温にすると、温度差によって音波が発生します。これが熱音響現象です。この音波の波動を電力に変換する仕組みです」

そう語るのは東海大学総合科学技術研究所の千賀麻利子特任助教。指導教員である同大学工学部の長谷川真也准教授のもとで博士課程まで学び、昨年(2020年)から研究者としての道を歩み始めた。

熱音響システムの概念図。パイプの中に設置した「コア」の両側に高温と低温の環境をつくり温度差で音波を発生させる
千賀麻利子特任助教

熱音響エンジンのメリットはなんといってもそのシンプルな構造にある。必要なのは熱のみで、石油も使わなければ、CO2も排出しない。地球温暖化など現代の多くの問題を解決する革新的なクリーンエネルギー技術として注目されている。

「私が問題視しているのは、工場などで利用された後の廃熱です。熱は他のエネルギーと比べて利用しにくく、なかでも300℃以下の熱はほとんどがそのまま捨てられています。この廃熱をエネルギー源として再利用できれば、コスト削減はもちろん、資源枯渇や環境負荷の問題も解決できると考えています」

「熱→音」による熱音響発電と「音→熱」による熱音響冷却によって、100年後の世界を変えるエコシステムを実現する
熱音響エンジンに用いる「コア」のイメージ。パイプの中に細かい穴が空いた管の束を設置しているイメージだ

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