バイデン政権でどうなる中東? 池上彰と元アラビスト外交官が深堀り解説!

池上彰×中川浩一(後編)
池上彰×中川浩一

中川 私は、初代の対パレスチナ日本政府代表事務所の職員なんです。1998年にパレスチナ自治区のガザに開設されました。

池上 当時は、ガザにあったんですか? 現在は、ヨルダン川西岸のラマッラですよね。

 

中川 はい。日本の対パレスチナ支援が、1993年のオスロ合意以降強化されて、やっぱりパレスチナの中に事務所を作ろうという動きがあり、アラファト議長の本拠地がガザだったので、そこに作られたんです。

池上さんもイスラエルに行かれたからご存じだと思うんですけど、アラブとイスラエルって、本当にびっくりするくらい経済格差があって、なかでもイスラエルのテルアビブは地中海に面していて、中東の「サンフランシスコ」って呼ばれています。

池上 テルアビブは綺麗なところで、リゾートホテルが海岸沿いにずらっと並んでいますよね。それに、ハイテク、IT産業が非常に盛んなので、中東の「シリコンバレー」という呼び名もあります。イスラエルは、人口900万人ほどの小さな国ですが、GDP比におけるベンチャー投資額は世界一で、情報通信、暗号、医療機器、自動運転など広い分野で高い技術を持っています。

テルアビブ(photo by gettyimages)

中東は「洗脳合戦」の世界

中川 まさに先進国ですよね。イスラエルは女性の格好も開放的で、アラブとは全然違います。イスラエルに行く前に、エジプトでアラブ人から、イスラエルの悪口ばかり聞かされていたので、すごく衝撃を受けました。

アラビア語をやると怖いんですよ。アラブの新聞を読むと、イスラエルの悪口だらけなんです。中東は本当に「洗脳合戦」で、どこで中東の勉強を始めるかで見方が全く変わるので注意が必要です。

池上さんは最初にイランに行かれたということですが、イランから始めると、イランはペルシャ民族で、アラブはアラブ民族ですが、ペルシャ民族はアラブ民族より上と思っているので、アラブ人を見下してしまう。アラブ人、アラビア語から入ると、イスラエル憎しになる。イスラエル、ユダヤ人から中東を見ると、アラブ人は嘘つきだと、全く別の見方になるんです。

池上 たしかに、そうですね。イラン国内をあちこち回っていると、イスラム教のシーア派の聖地に、隣国イラクのシーア派の人たちも巡礼にやって来る。そうするとイラン人は、あいつらアラブ人だぞ、違うだろと言うんです。そう言われて見ると、イラクのシーア派の人たちは結構貧しいので、イラン人が洗練されて見えてしまうんですね。どこから見るかというのは大きいです。

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