バイデン政権でどうなる中東? 池上彰と元アラビスト外交官が深堀り解説!

池上彰×中川浩一(後編)
池上彰×中川浩一

池上 イランはアメリカと作用・反作用の関係にあって、2001年の9.11事件のとき、穏健派のハタミ大統領がお見舞いの電報を送ったのに、ブッシュ大統領はイランをイラク、北朝鮮とともに「悪の枢軸」と名指ししたので、イランは失望して、その後、強硬派のアハマディネジャド大統領が出てきました。

今は、穏健派のロウハニ大統領でなんとかやってますけど、トランプ前大統領がイランとの核合意から離脱したので、また強硬派が出てくるかもしれない。本当に中東は、アメリカによってずいぶん影響を受けますよね。

 

中川 はい。先日も、イラン核合意に関して、イランのハメネイ最高指導者が、まずはアメリカが、トランプ政権時代に課した制裁を解除しなければならないと言ったのに対し、アメリカはバイデン大統領が、「先に制裁解除はない」と発言するなどジャブの応酬が続いています。でも、トランプ前大統領時代と違うのは、アメリカとイランが今度は同じ土俵に上がって、ちゃんと相撲をとりたいと思っている。ただ、どう組み合うのかを今探っている状況だと思います。

中川浩一氏

トランプ前大統領時代には、「敵の敵は味方」という論理が働いて、「アメリカ・イスラエル・アラブ連合対イラン」という構図になっていました。昨年(2020年)8月以降、それまで敵対していたイスラエルとアラブ諸国の国交正常化も進みました。ところが、バイデン政権は、今はイランとジャブの応酬をしていますが、核合意に復帰することは選挙公約でもあるので、本音ではイランとディールしたいと考えています。アメリカとイランが接近すれば、中東の構図は大きく変わるはずです。

ところで、池上さんは、中東とはどこでご縁があったんですか。

9.11事件が中東へ関心を持つきっかけ

池上 私もかつては、中東への関心はそれほどありませんでした。でも、9.11事件が起きたときに、NHKで「週刊こどもニュース」を担当していたんですが、子どもたちに、「イスラム過激派」について説明しなければいけない、というのがきっかけでした。

そこから中東に関心を持つようになり、2005年にNHKを辞めたとき、すぐに中東調査会の個人会員になり、身銭を切ってまずイランに行きました。あのころもイランの核開発疑惑があったりして、いずれ、大きな問題になるだろうと思っていました。イスラエルとパレスチナ自治区にも行きました。

関連記事