「外国語習得の極意」を、池上彰と元総理通訳が伝授!

池上彰×中川浩一(前編)
池上彰×中川浩一

池上 そうですよね。私の場合、次にテレビで何のニュースを解説しようかとか、あるいは次にどんな本を書こうかとか考えていると、いつものように新聞を読んでいても、ああ、この話はこういうことだったのかと腑に落ちてくる。常にアウトプットを意識することは、外国語だけじゃなく、何においてもとても大事なことだと思います

 

中川さんの本も、最初は普通に、あ、おもしろいなと思って読んでたんですけど、これを「ラジオ英会話」のテキストの中で紹介しようとなると、何を書こうかって考え始め、そういう視点でもう一度読み返すと、ポイントが見えてくるんですよ。普通に読んでるだけだと、どんなことが書いてあったのと聞かれても、えーと、なんかアラビア語で苦労したらしいよ、大変だったらしいよみたいな(笑)。アラビア語は、書き言葉と話し言葉が違うんだ、くらいしか残らないんです。

現地語の習得が、「心の扉」を開く鍵

池上 私はアラビア語、全然できないんですよ。「アッサラーム・アライクム」(こんにちは)と「シュクラン」(ありがとう)ぐらいしか話せない。でも、アラブの人って、戦乱が長く続いたから最初は疑り深いんだけど、親しくなると本当に親身になってくれる

中川 今、池上さんが仰った「アッサラーム・アライクム」(こんにちは)と言うだけで、アラブ人は、「心の扉」をバッと開いてくれる。アメリカ人、イギリス人に英語で話しかけても、こうはいかない。

池上 そうですよね。

中川 なので、アラビア語は文字は難しいですけど、話し言葉ならカタカナでも勉強できますし、実は、お勧めなんです。ちょっとでもいいから現地語を話せるようにしていくと、向こうでの対応がまったく違ってきます。

池上 アラブ人だけでなく、フランス人にいきなり英語で話しかけると、フランス人はフランス語に誇りをもっているから、英語はわからないふりをされる。でも、ボンジュール、ボンソワールと言ってから英語に切りかえると、ちゃんと対応してくれる。つまり、最初の挨拶はフランス語でして、フランス人に敬意を払い、そのあとで、フランス語はしゃべれないのでごめんなさい、英語にしますよということを伝えると、普通に対応してくれる。最初の第一声はその国の言葉で、っていうのは鉄則ですよね

(後編に続く)

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