エヴァ世代ではない60代の私が「シン・エヴァ劇場版」に震えた理由

とにかく見てよ、すごいから!
中川 右介 プロフィール

散りばめられたオマージュ

庵野秀明と同世代ということもあってか、この映画には少年時代に見た数々のアニメや特撮ものへのオマージュを強く感じる。

日本のアニメは、いまでこそ青春ものがたくさん作られているが、最初期はロボットものが多かった。

子どもを対象にしていたので、主人公も少年でなければならず、最初のテレビアニメである1963年の『鉄腕アトム』は少年タイプの自律型ロボットが主人公だった。

すぐその後に続いた1963年の『鉄人28号』は巨大ロボットを少年がリモコンで操縦した。

少年と巨大ロボットという二つの要素を合体させたのが1972年の『マジンガーZ』で、巨大ロボットの内部に少年が入り込んで操縦した。

これで子供たちは、操縦者である少年にも、巨大ロボットにも同化でき、玩具が売れに売れた。

 

以後、商業的理由もあって、多くの巨大ロボットものがつくられ、1979年の『機動戦士ガンダム』に至る。

『ガンダム』において、巨大ロボットと少年は軍隊に属し、異星人や怪獣と闘うのではなく、人間同士の戦争を生きていく。「架空戦記」がアニメに導入されたのだ。

1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』は、少年が操縦する巨大ロボットが架空戦記のなかで戦うという点では『ガンダム』の系譜の上にあり、そこに学園ものの要素も加わり、さらにタイプの異なる美少女が何人も出てきて、ラブコメ的ですらある。BLの要素もある。

さらに『エヴァ』での戦闘シーンは円谷プロのウルトラマン・シリーズでの怪獣と巨大ヒーローとの決闘シーンがベースにある。エヴァも使徒も機械的な動きではなく、生物的・人間的な動きをする。

主人公が組織に属しているのも、『ウルトラマン』の科学特捜隊以来の伝統が、アニメへ流れ込んだものだ。

新劇場版三作を作った後、庵野秀明は『シン・ゴジラ』を作り、すでに『シン・ウルトラマン』も完成しているが、それらの経験を経て、『シン・エヴァンゲリオン』は、アトム以来のロボットアニメの伝統とゴジラ・ウルトラマンの特撮の伝統とが、合流したものとも言える。

さらに、庵野秀明がアニメの作り手として最初に関わったのが、『風の谷のナウシカ』であり、『火垂るの墓』にも関わっているので、ジブリ的要素もぶちこまれる。

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