負の連鎖も…他人事ではない「貧困」問題

新型コロナの影響が長期化するなか、アルバイトができず、経済的な理由で生理用品が買えなくなるなど、日常生活に支障の出ている学生がどのくらいいるのか、「#みんなの生理」という任意団体が、高校生以上の学生を対象に調査を行ったところ、学生の約2割が「生理用品を買うのに苦労した」と回答したことが、大きな話題となっている。この影響を受け、生理用品の割引販売を始めることを決定した企業もあり、「貧困」は日本でも真剣に取り組んでいかなければならない重大な問題である。

このような経済的困窮による生活環境の変化や、雇用など先行きへの不安など心理的負担で自ら命を絶つ人がいるのも現実だ。警察庁の統計に基づき厚生労働省が発表した2020年の自殺者数は、前年比912人増(約4.5%)の21081人であることがわかった。

格差社会や子どもの貧困、シングルマザー家庭などの問題に着目した作品を手掛けている漫画家のくりきあきこさんは、『ブレッチェン~相対的貧困の中で~』という作品で、片親家庭に育った高校生が母親の他界後、生活保護を打ち切られ、貧困にあえぎながらも生き抜く姿を描いている。まさに、昨今の状況をふまえると“二次元の話”とキッパリ割り切れないところがある。

(C)くりきあきこ 『ブレッチェン~相対的貧困の中で~』(ぶんか社)

本作の担当・三平さんに話を聞くと、「コロナ禍以前も、2007年には北九州で生活保護を受けられず、『おにぎり食べたい』と書き残して亡くなった52歳の男性、2012年には生活保護の申請をさせてもらえずにガスも電気も止められたマンションの一室で、失業中の姉と知的障害のある妹が病死・凍死するなど、痛ましい事件が続いています」と現実社会で起きた事件に触れた。

『ブレッチェン~相対的貧困の中で~』は貧困に苦しむ人を描いた単なるフィクションではなく、読む人にこの問題を考えるきっかけや、問題解決の糸口を見つけられるような作品であることがうかがえる。

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また、「コロナ禍でどうしても自分のことで精一杯になりがちな今だからこそ、格差社会や子どもの貧困など、多くの人が気になっている問題を鋭い視点で取り上げた作品を通して、助け合いの大切さを再確認していただきたいです」と語った。

作品のサブタイトルに入っている「相対的貧困」という言葉は、国や地域の水準の中で比較した時に、大多数より貧しい状態で、所得でみると、世帯所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分(貧困線)に満たない状態のことを指し、これも社会問題のひとつであるという。

貧困は、経済的な困り事だけではなく、家庭生活全体におけるさまざまなことに影響を及ぼし、負の連鎖を起こしかねない。私たちが身近な問題として捉え、できることを早急に行う必要があるのではないか。