Photo by Yuriko Nakao/Getty Images

「貧者の核兵器」撲滅に向けて…化学兵器禁止条約が発効

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

「貧者の核兵器」撲滅に向けて

1997年の今日(4月29日)、化学兵器禁止条約が発効しました。

化学物質で人間に攻撃を加える化学兵器は、初めて使われた第一次世界大戦以来、先進国から発展途上国に至るまで世界各国で開発されてきました。開発費用が核兵器よりも安上がりで、しかも効率的な殺傷が見込めることから、化学兵器は生物兵器とともに「貧者の核兵器」と呼ばれています。

化学兵器は致死性と非致死性のものに大別され、前者には皮膚をただれさせる糜爛剤(マスタードガスなど)や神経ガス(サリンなど)、後者には催涙ガスなどが当てはまります。化学兵器は苦しみの末の死や重篤な後遺症をもたらし、その使用には大きな倫理的問題があります。

ベトナム戦争でアメリカが無差別に枯葉剤をばら撒いた際には、森の枯死や奇形児の出産の増加を招いたとして国際的な非難を浴びました。1987年には、イラクのサダム・フセイン政権がクルド人地区の民間人に対してガス攻撃を実施し、大量虐殺(ジェノサイド)に当たるのではないかと批判されました。

こうした事態を受け、国連では化学兵器禁止条約制定の機運が盛り上がり、1997年に発効を迎えたのです。この条約では、化学兵器の生産や貯蔵を禁止し、既に存在する化学兵器や生産施設を10年以内に放棄することを締約国に義務づけています。

また、発行と同日に化学兵器廃止と拡散防止に向けた国際機関・化学兵器禁止機構(OPCW)がオランダのハーグに設立され、2013年のノーベル平和賞を受賞しました。しかし同年以来、シリアのアサド政権は子供を含む民間人に対し化学兵器を使用し続けているなど、化学兵器廃止に向けた取り組みはまだまだ道半ばです。

化学兵器禁止機構の本部 Photo by Yuriko Nakao/Getty Images

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/