『天外者』脚本家の小松江里子さん「三浦春馬さんは“孤高の人”というイメージ」

この物語だけの「五代友厚像」ができた
小松 江里子 プロフィール

スクリーンの中で、志は永遠に生き続ける

よって、『天外者』で描かれる五代像も「あくまでもこの作品の友厚。本当はどういう人だったかはわかりません(笑)」と小松氏。その五代像を構築するために最大のインスピレーションを与えたのは、やはり主演を務めた三浦春馬だったと語る。

「三浦さんが五代の役をやりたいと言ってくださったことは聞いていました。その後、映画の撮影が延びるなど、何度か先行きが見えなくなりかけたときも、彼は『再開する時がきたら、声をかけてください』と言って待っていてくださったと聞いています。

だから、それほどの熱い想いを持っていた三浦さんがいちばん魅力的に見えるように、彼をイメージして、当てて書きました。役を演じる俳優さんをあらかじめ想定して書くことです。

私が彼から受けていた印象は、爽やかで凛々しいんだけれど、どこか儚く、孤独感を感じさせる……そう、“孤高の人”というイメージですね。

この作品の中で、五代を『100年先を見通せる人物』として造形していますが、そんな人だったらきっと周囲の人と話は合わなかったでしょうし、彼を理解できる人も少なかったことでしょう。才能がありずぎる五代の孤独と、三浦さんの孤高のイメージが重なってできた、この物語だけの五代友厚像なんです」

©2020映画「五代友厚」製作委員会
 

京都の松竹撮影所で撮影が行われたのは、2019年の夏から秋。小松氏も現場を訪問し、五代の扮装をした三浦春馬と挨拶を交わしたという。「精いっぱい演じさせていただきます」と礼儀正しく挨拶をした彼との邂逅は、残念ながらその一度きりとなってしまったが、「五代の志が時代を超えて未来に受け継がれるように、彼もまた……」と、小松氏は語る。

「田中監督が、公開時の舞台挨拶で『スクリーンの中で彼はずっと生き続けている、そのことだけを信じたい』とおっしゃっていましたが、その言葉に尽きると思います。今も多くの方が映画館に足を運んでくださっているということは、やっぱり時代を超えて人の心に訴えるメッセージを、皆さんが物語から受け取ってくれたからなのかな、と」

次回、歴史ものを手がける際は「女性たちが生き生きと活躍する物語も書いてみたい」と抱負を語る小松氏。映画のヒットを受け、夢は前へと繋がっていく。

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