西川善文流仕事術「周りの目が厳しいときこそ一刻も早く結果を出せ」

西川善文『仕事と人生』(8)
西川 善文 プロフィール

割り切りが必要不可欠

要するに、不良債権は「早く処理をすること」が最も適切な対応であり、そのためには割り切ることが必要不可欠なのである。努力すれば四割を回収できるとしても、そのために時間がかかるのであれば「三割でよろしい」と割り切る。そのほうが効果的である場合が多い。

 

荒っぽい話だと思われるかもしれないが、あまり微に入り細をうがっても不良債権処理は埒が明かない。それならば割り切ったほうが賢い。枝葉末節を考えていたら切りがないし、また枝葉末節を考えることにどれほどの効果があるかというと、実際には大した効果がない場合が多い。行き着くところが同じであるならば、早くきれいにしたほうが気持ちがいい。

不良債権処理にかかわらず、スピード感を持って物事を進めていくことは現在の社会で必須の条件である。住友銀行の頭取就任時に支店長会議で行った挨拶の草稿を見返すと、「スピードは競争力そのもの」という部分を私は「スピードとは他のどんな付加価値よりも高い付加価値だ」と書き直している。当時の住友銀行は「週刊ダイヤモンド」が行ったアンケートのスピードに関する評価で、金融機関中、野村證券に次いで二位という評価を受けたから、決してスピードに劣っていたわけではない。しかし、現状に安住せず、さらに磨きをかけたかったのである。

他と逆に合併で持ち株会社設立を銀行の後にした理由

さくら銀行との合併を発表した時(1999年10月14日)の西川善文 Photo by GettyImages

住友銀行とさくら銀行の合併においては、まず三井住友銀行を誕生させ、翌年に持ち株会社の三井住友フィナンシャルを発足させた。他のケースは最初に持ち株会社を設立し、その下に合併する会社を置き、緩やかに統合を進めることが多い。なぜ、そうしなかったかと言うと、時間をかける余裕はないと判断したからである。

二〇〇一(平成一三)年四月、三井住友銀行として最初の部店長会議が開かれたとき、幹部クラスの職員一〇〇〇名を前にして、私は「変化への対応力とそのスピードが企業の死命を制するものだ。われわれの最大の敵は時間であり、時代の変化であります」と述べた。そして、合併後一〇〇日以内にコスト削減とリストラの計画を策定し着手する「百日作戦」を打ち出した。

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