わきまえてエラくなった女をみて、管理職を躊躇する

もう1人、この間「わきまえた女」のサンプルとして登場したのが、総務省接待問題で7万円もの高額接待を受けた山田真貴子・前内閣広報官だ。出身母体の総務省では事務次官に次ぐポストの審議官まで上りつめ、安倍首相時代には初の女性首相秘書官にも抜擢された。その山田氏の言動に驚いたのは、高額接待を受けていたこともさることながら、「飲み会を断らない」と豪語したことだ。

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今、女性たちを管理職に登用しようにも、女性たち側が躊躇するという悩みは企業の人事に共通する。経済同友会の櫻田謙悟代表幹事は、女性管理職が少ない理由について、「女性側にも全く問題がないわけではない」とし、自らチャンスを取りに行く人が少ないと指摘した。
だが、私が多くの後輩世代の女性たちと話して感じるのは、それは女性側の問題ではない、ということだ。

私自身、管理職と子育ての両立をするために、実家の両親を東京に呼び寄せ、子育てを全面的に手伝ってもらったが、そのこと自体が後輩世代にどれだけのプレッシャーを与えたのか、と後になって反省した。先輩世代が親やシッターをフル活用して仕事をしている姿を見て、同じようにしなければ私も好きな週刊誌の仕事はとても続けられないと思って選択した苦肉の策ではあったものの、「あそこまでしなければ管理職は務まらないのか」という間違ったメッセージを送ってしまい、管理職への心のハードルをあげてしまったのでは、と思っている。実際、私の3つ下の後輩は、同じように実家から親を東京に呼び寄せた。

バブル世代、均等法世代の私たちと違って、後輩世代は自分たち夫婦で子育てもしながら、その範囲で仕事も頑張りたいと思っている。

「飲み会を断らない」山田氏にもお子さんがいたと聞く。おそらく飲み会だけでなく、残業も厭わず働いてきたのだろう。その間、子育てはどうしていたのだろう。山田氏の働き方を見て、ああいう風になりたいと思っていた女性たちはどれだけいるのだろうか。むしろあそこまでしなければ出世できないなら、と諦めていく女性たちの姿が私には容易に想像できる。

せっかく出世したのなら、もっとポジションを生かしてできることは他にあったのではないか。夜の高額な接待に出かけるより、子育てや介護など家族の事情でどうしても働く時間に制約がある人でも能力を発揮しやすいような職場づくり、働き方の改革は、実はトップや管理職にしかできない

飲み会のように距離感を縮めることのできる機会ももちろんあっていい。しかし、多様な人材を登用するためには、「飲み会を断らないことがキャリアを築くために必須ではない環境」を作ることが大切ではないのだろうか Photo by iStock