女は納得しているというアリバイに使われる

男性だって、今のご時世、真正面から女性の意見に反対を唱えにくい。「ジェンダー問題に理解がない」「女性蔑視だ」と思われることを恐れるから。その時に使われるのが「わきまえた女」たちの意見だ。男性が自分の意見を補強するときに、彼女たちの意見を使う。「ほら、こういう意見だって女性の中にはあるんだから」と言われ、口をつぐんだこともある。「わきまえた女性」の存在が、「女性にはこういう意見もある」とアリバイに使われてしまうのだ。

それを強く感じるのが、選択的夫婦別姓制度についてだ。導入に反対し、地方議会の議員に反対するよう働きかけていた国会議員50人の中には、丸川珠代・男女共同参画・女性活躍担当大臣(よりにもよってなぜ彼女がこのポジションなのかと思うが)や高市早苗・前総務相など女性議員もいる。丸川氏は国会で、大臣として戸籍名(大塚)をサインしなければならなかった苦労まで語っているのに、なぜ導入に反対するのか、理解に苦しむし、肝心な理由を明らかにしない。

しかし、こういう女性たちが何人かいるだけで、「旧姓の通称使用でいいじゃない」「彼女たちはうまくやっているじゃない」とアリバイに使われてしまうのだ。

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わきまえた女は過剰適応し、先鋭化する

先の丸川氏で言えば、最近、国会での「大笑いシーン」が波紋を呼んだ。選択的夫婦別姓制度について、福島瑞穂氏が「丸川というのは旧姓ですよね。家族で姓が違うじゃないですか。家族の一体感、ないですか?」と丸川氏に質問したところ、何がおかしいのか全くわからない文脈で、大笑いしたのだ。私はこの映像を見たときゾッとした。

丸川氏は2007年、当時首相だった安倍氏に見出され政界入りした。元アナウンサーという経歴だからか、安倍氏の“寵愛”を受けていたからか、選挙の応援演説など当選回数が浅いうちから目立つ場所に立ち続けてきた。環境相や五輪担当相を歴任し、今回も橋本聖子氏の後任として五輪担当相に再任、男女共同参画相にも就くなど、自民党内での出世街道まっしぐらだ。

テレビ朝日アナウンサーから、国会へ。2007年、安倍氏の肝いりで初当選した丸川氏 Photo by Getty Images

丸川氏にゾッとしたのは、今回が初めてではない。自民党が下野した野党時代、丸川氏はヤジを飛ばすことで有名だった。2010年3月、参院厚生労働委員会で、子ども手当法案が強行採決された時、
「この愚か者めが!」
「このくだらん選択をしたバカ者どもを絶対忘れん!」

という彼女の大声が国会中継で流れたことが話題になった。
のちに、テレビ朝日時代の彼女を知る人に聞いたのだが、テレ朝時代はそんな片鱗はなかったという。その人も彼女の変化に驚いていた。

女性が出世するためには、残念ながらまだまだ実力や地位にある男性たちに引き上げてもらわなければならない。だから引き上げてくれた人に恩義を感じるという気持ちはわからないでもない。でも男性以上に、女性の方が引き上げてくれた男性に過剰になびき、その男性の意見を代弁し、どんどん先鋭化していくーー丸川氏を見ていて、この人は誰の価値観を代弁しているのだろうかと思ってしまうのだ。