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日本社会はアメリカ化するか? これからの経済・家族・福祉の姿

データで読み解く「日本の構造」
日本の共働き世帯数、日本人の労働時間、日本の労働生産性、事業所の開業率……あなたは、現代の「日本の構造」をどれくらい知っていますか?

少子化、格差、老後など、この不安な時代に必要なすべての議論の土台となる50のトピックを平易に解説した橘木俊詔氏による現代新書の最新刊『日本の構造 50の統計データで読む国のかたち』。様々なデータから見えてくる「日本の今」とは? いち早く、そのエッセンスをお届けします。

低迷する日本経済

失われた30年と称されるように、日本経済は低成長の中にいる。それは過去との比較、国際比較上からも統計で確認できるのだろうか。もしそうなら、その原因はどこにあるのだろうか。

企業活動、そして労働者の働き方や生活の実態がどういう現状にあるかを知ることは、今後の経済成長の課題を考えるうえでとても重要な情報なので、本書で詳しく検討している。

例えばどのような項目が調査されているか、いくつかの例を記しておこう。

企業と労働者の生産性、企業の開業率と廃業率、人々はどの産業で働いているのか、労働者は一企業に何年勤めるのか、定年制の実態はどうか、賃金や所得をどれだけ受け取っているか、女性の労働の実態はどのようなものか、日本人は幸福な生活を送っているか、そして何を生きがいにして生活しているか、など多種多様な点がわかるように記述して、日本の企業と人々がどういう状況にいるかを知ることができるようにしている。

変化する日本社会

他にも現代の日本を物語る現象がいろいろある。日本はもともと、福祉を家族の絆に頼ってきた。しかし、近年その絆が弱まり、福祉の提供が充分でなくなり、人々は日常の生活に困り果てている。

例えば結婚しない人の増加、離婚する人が増えた、出生率の低下、三世代住居の減少などが象徴的である。学歴社会ともいわれる日本だが、教育においては学力不足、低所得家庭の子どもは望む教育を受けられないでいる。

もし福祉と教育の分野で日本が問題を抱えているなら、政府がこれまで以上に前面に出てきて、適切な政策を実行すればある程度は解決できる。そこで政府の役割にも注目する。

日本は「格差社会」に入った

「一億総中流社会」を一つの好ましい事実として誇っていた日本であったが、今や中間層が減少して、富裕層と貧困層の増加がめだつ「格差社会」に入った、との認識に合意のある時代となった。

地域間格差、教育格差、医療格差なども同様である。世の中では経済効率性の達成のためには格差の存在はやむをえないとする考え方と、人間社会にとって平等は価値の高いことであるという考え方の2つが交錯している。

どちらを好ましいとみなすかは、人々の生き方の違い、価値判断などに依存するので、一概に決められることではない。自由主義・民主主義のもとでは、多数決の意向で決められることかもしれない。

ただ、実態を正確に知ることは、人々の判断の材料として役立つので、格差の実態がわかるようにする。

本書の記述の方法を簡単に述べておこう。日本の社会と経済に関する項目を50種類ピックアップして、それぞれに関して図表を提示する。

その項目の内容を一目で容易に理解できるように、わかりやすい図表の用意を基本方針とした。そしてその図表をもっとわかりやすくするために、解説を準備した。

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