後藤正文氏(写真:山川哲矢)、和合亮一氏(右)
# 東日本大震災

アジカン後藤正文×詩人・和合亮一「震災から10年、私たちは今どこにいるのか」

詩、若者、カルチャーはどこへ行くのか

詩人・和合亮一氏の『詩の礫』がツイッター上に投稿されたのは、二〇一一年三月十六日二十一時二十三分。これとほぼ同じころに、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文氏は一編の詩『砂の上』を詠んだ。その詩は三月十八日、後藤氏のブログで発表され、その後、後藤氏が自宅の寝室のベッドの上ですべて自分で演奏したというメロディが付けられて、公式サイトで公開されるに至る。
復興支援の思いが込められた楽曲だが、後藤氏は「世に言う応援ソングみたいなものとはちょっと性質が違う歌」と言う。詩が降りて来たときに感じていたのは、巨大な震災を前にしてまったくなす術すべのない無力感だった、とも。これまでの日常が、砂上の楼閣のような不安定なものであったことに気付かされた私たちは、圧倒的なカタストロフのなかで、後藤氏と同じ無力な自分を感じていたことだろう。「10年後の君はどこで何をしている?/愛はあるかい? 祈りはあるかい?」

ーーあの日から十年の歳月を経た現在、詩人と音楽家は何を思うのか。

和合氏の著書『未来(イマキ)タル』より、後藤氏との対談の一部をお届けします。

写真:山川哲矢
 
『砂の上』

砂の上 ある春の午後に僕らはまだ揺れている
一切れのパンを分け合えずにいる
その夜に君は何も出来ずに途方に暮れる
愛はあるか 祈りはあるか

ある春の夜に僕らはまだ揺れている
一枚の毛布に君とくるまって
次の日の朝も何も出来ずに途方に暮れる
愛があるさ 祈りがあるさ

ほら 今 鳴らさなきゃ
闇に涙がこぼれ落ちて
僕の無力なこの声も 響き合って 砂の上

10 年後に僕はどこで何をしている?
誰かと一緒に笑ってるかな
10 年後の君はどこで何をしている?
愛はあるかい? 祈りはあるかい?

ほら 今 鳴らさなきゃ
闇に涙がこぼれ落ちて
君の小さな想いも 響き合って 砂の上

水たまりを飛び越えてスキップしよう
風の音に耳を立て ドキっとしよう

日当りの良い窓辺で居眠りをしよう
そんな日を思って

ほら 今こそ 鳴らさなきゃ
闇に涙がこぼれ落ちて
僕らは小さな想いも 讃え合って生きて行くんだ
確かめ合って 砂の上

『砂の上』ストリーミング視聴はこちら 

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