真骨頂は「伝える力」、そして「共感と信頼」

BTSにハマった人たちからよく聞かれるのは「歌詞がいい」「伝える力が大きい」という声だ。

『Dynamite』の後発曲である『Life Goes ON』は、そういったBTSらしい伝える力を感じさせる曲だ。オルタナ系のサウンドもゆるくて心地よいが、そこにリアルなコロナ禍の心情がリアルに語られる。韓国語の歌詞で初めて、「Billboard Hot 100」で1位を獲得した(2020年12月5日付)。

終わりが見えないんだ
出口はあるのかな
歩き出せない

彼らは「いっしょにがんばろう」とか「信じていれば大丈夫」といった安易な励ましは言わない。
「とても辛い」とコロナ禍の誰もが抱える気持ちをそのままの言葉で語り、
そして、つらい状況下であっても、Life Goes ON、「人生(日々)は続いていく」と歌うのだ。

YouTube/BTS「Life Goes On」Official MV(Big Hit Labels)

BTS自体もコロナ禍で、世界18都市で予定されていたワールドツアーが中止・延期になった。オンラインライブや動画配信などは行っても直接ファンに会う機会を失い、失望感や虚無感を味わった。そして、ファンたちも同じ混乱の中で暮らしている。互いに苦しい。でも、それも含めて今があり、それでも日々を生きていくのだ、とこの曲では語っている。

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こういった自分たちのリアルな思いを込め制作するスタイルは、デビュー当時から続いている。歌詞の約8割は、メンバーそれぞれが書き出し構成され、サウンドも含めて7人が深く制作にかかわっているのだ。

ダンス主体のグループと思っている人も多いが、伝える力の深さと共感する痛みに圧倒させられる。

世代、国籍、人種、学歴、性別、出身地、見た目など、さまざまな偏見や差別からくる劣等感や不快感。頑張っていてもうまくいかない気持ち、うまく行っても付きまとう不安感。信じたものが永遠でないこと……。だからこそ過ちも含めて、自分自身を愛することに目を向けてほしいと伝えている。

なかでも、昨年12月に発売になったアルバム『BE』に収録された『Blue&Grey』は、SNSでとても共感が集まった曲だ。私も歌詞を読んで、涙が出た。メンバーVの自作曲で、他のメンバーも制作に携わっている。

大丈夫?なんて聞かないで
大丈夫なんかじゃないから
どうかひとりにしないで、苦しすぎるから

スターダムに伸し上り、忙しく世界中をライブツアーで飛びまわる中で、本来の自分の心とのバランスが取れず、トンネルに入ったような気持ちになってしまったというV。そのときの気持ちを表現した曲だという。

眠れない夜中に苦しい想いを打ち明けられたような、それでいて繊細でやさしい歌詞とサウンドが心に刺さる。「コロナ禍の不安な自分とあまりにシンクロして涙が止まらなかった」本当につらいときは大丈夫?が一番つらい。私も大丈夫じゃないって言っていいんだね。ありがとう」といったコメントは今もSNSに溢れている。

YouTube/BTS「Blue & Grey」(BANGTANTV)

内包的で苦しい心の内を歌っても、その言葉に嘘がないからこそ、そこに共感と信頼が生まれ、聴く側の力となる。彼らの最大の魅力は、そこにある。誰もが苦しみを味わうコロナ禍だからこそ、伝える力を実感した人も多かったに違いない。

『Spring Day』『Whalien52』『2!3!』『Magic shop』『4O'CLOCK』『Lost』『Answer:Love Myself』『tear』『Tomorrow』などの過去に発表された作品(他にもたくさんあるけれど)もコロナ禍で泣ける曲として、よく話題にあがっている。ぜひチェックしてみてほしい。
※歌詞は編集部で翻訳したものです。