ミドル、男性、知識階層、ファンダムは幅広い

BTSというと、“10代の女の子たちのアイドル”、“K-POP好き、韓国好きな人がハマるもの”という固定概念を持っている人がまだまだいる。しかし、現実のファンダムは驚くほど幅広い。

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韓国の社会学者であるイ・ジヘン氏は、2月18日に発売になった『BTSとARMY わたしたちは連帯する』(イーストプレス刊)の中で、ミドル世代や男性にファンダムが拡大していること、さらに“知識階層のハートもしっかりつかむ”と解説している。「大学の教授がBTSの話ばかりする。ARMY(BTSのファンの呼び名)の90%は、大学教授なのかもしれない」といった大学生のツイートを紹介し、大学教授や研究者にファンが多いことを解説している。

多様性と拡大力があるファンダムを持つBTSの現象は、世界中の社会学者や心理学者、音楽・映像研究者などが関心を寄せるところで、2020年1月にはイギリスのキングストン大学で『BTS会議』なる国際的な学術会議が開催された。イ・ジヘン氏はもちろん、『BTSとARMY わたしたちは連帯する』を翻訳したライターで翻訳家の桑畑優香さんもそれの会議に参加している。

なぜ知識階層を刺激するのか―、メンバーたちの個々の魅力やパフォーマンス以外にも、ファンダムが彼らの魅力をプロモートする連帯感、その拡大力は、多くの社会学者が注目するところだ。

兄が気になったユングは、アルバム名『MAP OF THE SOUL』のタイトルになっていて、自分とは何かを様々な視点で探す構成になっている。他にも、先端科学分野の言葉の『Singularity』(特異性)、『Euphoria』(究極の幸せを意味する)など、専門性が高い言葉や俗語が曲タイトルに多い点も学者たちの関心を呼んでいる。

以前、性暴力の記事制作をしていたとき、『スティグマ/ Stigma』(差別や偏見、恥といった刻印の意味)に用語解説をつけるか編集に尋ねると、「BTSの曲名にありますよね。そこから意味を知ったって人も多いみたいですよ」といわれ、そうか彼らの影響力はそこまであるのか、と思ったことがあった。

また、BTSの世界観には各国のさまざまな文学作品がオマージュ的に隠されていて、ファンダムの間では、それらを探すことも楽しみのひとつだ。ファン同士で、元となった作品に読み、考察し合うといった二次的、三次的な広がりも生まれている。

2020年1月26日、第62回グラミー賞では、リズ・ナズ・Xの『Old Town Road』でコラボパフォーマスに参加した。photo/Getty Images