気になって検索。そして抜け出せないBTS沼

「スピーチをしているのは、今世界的に活躍しているBTSという韓国のボーイズグループのリーダーRMという人です。母にはまったくわからない人かもしれないけれど、彼らはLove Myselfという『自分自身を愛しなさい』というメッセージを伝えています。

彼らは今、成功者と言われるけれど、そこに至るまでたくさんの挫折や苦悩を繰り返し経験している普通の20代の若者たちです。でも、だからこそ、スピーチで語られる言葉には嘘がなく考えさせられます。コロナで不安な気持ちにも響くんじゃないかな。英語ですが字幕があるので、ぜひ観てほしいです」と、めちゃくちゃ熱量が高いメッセージが追加で送られてきた。

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文面に、BTS愛があることは、一目瞭然だった。恐る恐る「もしやして、ARMY(BTSのファン)なの?」とLINEを送ってみると「はい、詳しくはメールします」と短い返事が来た。マジか……。

左から、JIN、SUGA、V、JUNGKOOK、RM(リーダー)、JIMIN、J-HOPEの7人がメンバー。photo/Getty Images

兄とBTSとの遭遇は、教える大学のゼミの学生きっかけだったという。

学生たちがスイス在住のカナダ人ユング派分析家、マレイ・スタインの著書『ユング 心の地図(JUNG’S MAP OF THE SOUL:AN INTRODUCTION)』について議論をしていた。その理由を聞いてみると、「BTSのアルバムのコンセプトになっているんですよ。私、ARMYなんで」と言われ、そのとき兄は初めて“BTS”と“ARMY”という単語を知った。ユングはよく知っていてもそれ以外、なんのことかもわからない。2019年の年末のことだった。

「最初は、ユングと韓国の流行りの音楽との関係が知りたくて、ネットで検索しはじめた。“BTS”と入力すると、記事の多さに面食らった。何から手を付けていいかわからず、動画サイトに上がっている再生回数が多いMVから見始めることにした。

といっても、最初は目が動きの速さについていけない(笑)。メンバーの把握もせず見始めたので、誰が誰かもわからない。エレガントに舞う人(あとでJIMINと判明)を最初女性かと思っていた。激しい曲だったけど、一糸乱れぬダンスに目を奪われてしまった。でも、それ以外は何ひとつもわからない。それなのに、不思議とPCを閉じる気にならず、深夜3時まで動画を見続けてしまった」という。

翌日、大学の研究室で学生たちにそのことを話すと、「それを世では、ハマるというのですよ」と言われ、過去の作品の流れや気になっていたユングとの関係性についても学生たちがレクチャーをしてくれたという。それを手掛かりにまた動画や音源を探り、歌詞を読んだ。そんなふうにBTSは兄の生活に入り込み、当たり前の存在になっていったというのだ。