「結局、私は元夫を支え切れなかったんです」
時田佳澄さん(仮名、45歳)は、14年前、当時10歳と6歳の子どもを連れて離婚した。元夫は結婚当初から精神不安定だった。佳澄さんは子ども2人を育てながら、元夫に気を使う生活を続けていたが、10年め、ついに佳澄さん自身の心が限界に達したのだった。

病めるときも健やかなるときもずっと支え合う。結婚の時にそれを誓う人も多いだろう。しかし依存症の病にかかった場合、果たして「支える」ことはできるだろうか。高校時代からつきあった彼と結婚し、10年後に離婚を決意した佳澄さんはまさに悩んだ挙句に「支えられない」と離婚を決意した。それから14年、いま互いに幸せといえるのか。
上條まゆみさん連載「子どものいる離婚」今までの記事はこちら
-AD-

高校時代からの彼と21歳でできちゃった婚

佳澄さんと元夫とは地元が同じで、中学時代に塾で知り合った。高校生になってから付き合い始め、21歳で子どもができた。

「元夫は高卒でトラック運転手として働いており、私は短大卒業間近というタイミング。授り婚とはいえ、長い付き合いだったし、結婚することに迷いはありませんでした。短大で幼児教育を学んでいた私は、子どもが大好きだったので、出産には前向きでした」

元夫の親からは「若すぎるのでは」との声もあったが、子どもができてしまったのだからそう強くは反対できない。とりあえず祝福された結婚だった。

結婚後、二人は都内の東端にアパートを借りて暮らし始めた。出産を控えていた佳澄さんは専業主婦になるしかなく、元夫一人の頑張りで生活を支えることになった。
「元夫は『頑張るよ』と言ってくれました。でも、内心はかなりのプレッシャーだったようです。一緒に暮らし始めてすぐ、元夫は精神的に不安定になりました。明るくて元気だった元夫が、人が変わったようにおどおどとした表情を見せることに、私はただ怯えていました」

一緒に暮らし始めてすぐに夫の様子に変化が…(写真の人物は本文とは関係ありません)Photo by iStock

この人と結婚してよかったのだろうか。不安がよぎった。でも、まもなく子どもが生まれるのだから、後戻りはできない。暗澹たる新生活のスタートで、佳澄さんはなぜか「10年は頑張ろう」と心に決めた。

何の根拠もない、10年という期限。その後、子育てに慌ただしい生活のなかで、佳澄さんはそのことをすっかり忘れていた。しかし、まさに結婚10年め、佳澄さんは結婚当初の決意を思い出すことになる。