西川善文が晩年に語っていた、仕事ができる人ほど避けないといけない落とし穴

西川善文『仕事と人生』(5)
西川 善文 プロフィール

住友銀行で常務まで昇進したあと、社長含みでイトマンに移り、社長に就任する。そして、経営危機に陥っていたイトマンを建て直した。社内の改革を手がけてさまざまな問題を整理するとともに、住友銀行に依存していた資金調達の窓口を地方銀行等まで広げたし、借入金全体の額も減らした。

仕事ができるだけでは十分条件を満たさない

それはよかった。しかし、磯田一郎さんにかわいがられ、磯田さんから言われればどんなことでもやるようなところがあった。だから、首都圏での店舗数増加に執心した磯田さんに応えるべく、旧東京川崎財閥系の資産管理会社「川崎定徳」に、首都圏に多くの店舗を持っていた平和相互銀行の株式を購入させ、これを住友銀行に持っていくという離れ業をやってのけた。平和相互銀行の合併は、この大胆な行動力がなければできなかったのは確かだ。

 

だが、その独特の仕事の仕方や発想は河村氏が落とし穴にはまる原因でもあった。不動産バブルの崩壊でイトマンが経営危機に陥ったこと自体は、不動産事業を手がけた企業であれば大なり小なり避けられなかったと言える。しかし、闇の紳士たちとの付き合いが明るみに出て「イトマン事件」と呼ばれる騒動が世間を騒がせたこと(これは住友銀行の信用にも及んだ)は、河村氏のどこかに不祥事を招き寄せるようなものがあったからだろう。

仕事ができることは大切だ。しかし、それだけではビジネスパーソンとしての十分条件を満たさないのである。

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