超期待した『シン・エヴァ』にモヤモヤした「3つの理由」

『夏エヴァ』の時点で青春は終わっていた
飯田 一史 プロフィール

夏エヴァは夏エヴァで、よくわからない部分もあったものの、やはり「今まで見たことがないとんでもないものを体験してしまった」と思いながら友達といっしょに1日で3回観た。自己完結した気持ちの良い世界ではなく、摩擦のある世界を選ぶのか? と問われてイエスと答えたシンジをアスカが「気持ち悪い」と拒絶する終わりは、肯定か否定かも判断できないくらい、ただただショックだった。

その夏エヴァで『エヴァ』は完結したものだと思っていたから2003年にPS2用ゲームで『新世紀エヴァンゲリオン2』が出たときは「ふざけんな」と憤ったし(97年7月発売のゲーム『鋼鉄のガールフレンド』も「許しがたい」と思った)、2007年に新劇場版が始まったときも「なんで今さらリメイクするんだろう」と醒めた気持ちでいた。

ただ2009年に『破』が公開されて、新劇場版制作時に制作陣が語っていた「若い世代に向けて作る」が本気の言葉だと思わせるような、単なるリメイクではない内容を見せつけられたときには一転して興奮したし、東日本大震災の混乱が色濃く刻印された2012年公開の『Q』を落ち着いて受けとめるには数年かかった。そんなわけで、なんだかんだ振り回されながらも追いかけずにはいられないのが『エヴァ』だった。

新型コロナウイルス流行に伴う1都3県に対する緊急事態宣言が延長されても公開延期の発表がされず、つまり公開日が確定してからその日を迎えるまでのあいだ、私はずっとそわそわしていた。

 

「何回それをやるんだ?」という既視感

そしてついに公開初日の午前中に観たのだが……好きとか嫌いとかいう以前に、気持ちが入っていけなかった。

高まりまくっていた期待値が、鑑賞中にみるみる下がっていってしまった。

そんな体験になるとは思いもよらず、呆然として、映画館にマフラーを忘れてしまったほどだった。

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