小室哲哉・KEIKOさん夫妻の離婚報道に、高次脳機能障害の僕が感じたこと

障害特性を「ないもの」にするな
鈴木 大介 プロフィール

1は主に当事者に苦しみが集中するケースで、無理解な家族からの攻撃に当事者が壊されてしまうこともあるが、2~4のケースでは家族に苦しさが集中する。いずれも家庭崩壊の危機に至るのは自明の理だろうが、ここで当事者としてどうしても理解いただきたく思うのは、たとえ2や3のケースにおいても、当事者が苦しみ悶えるのが現実ということだ。

むしろ当事者によっては、1や4よりも2、3のケースの方が、大きな苦しみとなるかもしれない。

それはそうだろう。

自分でもおかしいと思いつつも抑えられない怒りの感情が暴走し、何よりも大事な家族を傷つけてしまう。たとえ記憶に残らなくても、家族に残った怪我や破壊された家を見て、時には家庭内暴力の証拠として録られた暴言の音声や破壊の映像を聞いたり見たりして、自分ではない自分が何よりも大切な家族を壊すシーンを客観的に見てしまう。いずれもやってしまったことは、もう何をしても取り返しがつかない。

そこで当事者が感じるのは、自分の存在を世界から消し去りたくなるような、絶望、猛烈な自己嫌悪、自罰感情だ。

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僕自身は1と2の境目のようなタイプで、家族だけでなく仕事や社会に対しての感情を徹底的に抑圧した。その結果、一時期声がまともに出なくなってしまう経験を味わったが、2の側に振れて妻に対しての暴言や家具の破壊といった行為をしてしまったこともある。

思い出すだけで、空気が吸えなくなるような感じになる。

当事者になって、あまりに不自由でやれないことの多い人生に、「いっそ死んだ方が楽かな」と思ったことは何度もあったが、リアルに死んでしまいたい、自分をこの世から消し去りたいという強い希死念慮を感じたのは、妻に対して加害的な言動をしてしまった後だけだった……。

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