2021.03.10
# 企業・経営

なぜ日本企業だけ「テレワークによって生産性が落ちる」のか? その根本的な理由

海外では生産性が上がっているのに…
加谷 珪一 プロフィール

1回目の緊急事態宣言でテレワークに移行した企業は引き続きテレワークを行い、そうでない企業は出社を継続しているということは、コロナ危機をきっかけに企業の振る舞いに違いが生じていると解釈できる。そして、この違いはコロナ危機という時限的なものにとどまらず、構造的・恒久的なものとなる可能性が高い。

電通グループは業績不振から自社ビル売却を決定したが、テレワークで2割の社員しか出社しておらず、従来と同じオフィススペースは不要との判断が決断を後押しした。IT大手の富士通も、オフィス面積を半減させる方針を表明するなどテレワークを恒久化させる動きが目立っている。

〔PHOTO〕iStock
 

今後、テレワークを継続実施する企業とそうでない企業に二極化した場合、日本のビジネス界には極めて大きな影響が及ぶ。その理由は、テレワークへのシフトは、単にテレワークだけの問題にとどまらず、ビジネスのデジタル化(DX:デジタルトランスフォーメーションなどとも呼ばれる)と密接に関係しているからである。

日米で生じた決定的な違い

日本は諸外国と比較すると、コロナ前もコロナ後もテレワークの実施率が低い。野村総合研究所の調査によると、日本におけるテレワークの実施率は調査対象となった8カ国中最下位だった。米国はコロナ前の実施率が32%で、コロナ後の実施率は61%に上昇している。中国は都市部のみを対象とした調査だが、コロナ前から35%の実施率があり、コロナ後は75%という高い実施率になった。一方、日本はコロナ前はわずか9%で、コロナ後は31%となっている(すべて2020年7月時点)。

さらに驚くべきなのはテレワークに対する認識の違いである。先日、日米のテレワークの成果を比較する政府の報告書がネットで話題となっていたが、テレワークの成果に対して日米が正反対の回答となっているのだ。

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