3.11から10年…福島の「情報災害」が未だに払拭されない理由

福島の今を知るための「5つの論点」
林 智裕 プロフィール

5)今も解決できていない問題は?

これまでお伝えしてきた問題の多くは「完全に解決した」とは当然言えないものの、それでも日々進展しているとは言えます。

その一方で、未だ解決の見通しが立てられていない問題もいくつかあります。

まず挙げられるのは除去土壌等の有効利用についての問題で、これはたった今お話しした通りです。

次に深刻な問題は、東電福島第一原発の敷地内タンクに溜まり続ける処理水についてです。

Gettyimages

この問題の詳細は2019年に『原発「処理水」を、なぜマスコミは「汚染水」と呼び続けたのか』https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67575)に記しましたが、処理水が海外と同様どころか、それ以上に厳しく抑制された処分すらも妨げられている現状があります。

その結果、かえって安全上のリスクが高められているばかりか、廃炉作業にとっての大きな障害にもなっています。また、溜め続けること自体が「処分できない程危険なもの」との誤解と風評を生んでいる他、町の人々の帰還や日常生活にも悪影響を及ぼしています。

ところが、一部の例外を除き、特に中央メディアの多くは「海洋放出反対」を訴える声ばかりを「地元の声」として繰り返し伝え続けた一方(中には非科学的なデマと呼べる主張までも含まれていました)、タンクでの処理水継続保管に反対する地元の大熊町、双葉町などの首長の声は無視を続けています。

数少ない例として、読売新聞福島版に掲載された処理水継続保管反対の地元の声がこちらです。

https://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20200815-OYTNT50010/

この件に限らず、東電原発事故ではマスコミが不安と誤解を煽動したり恣意的に偏向した報道を繰り返したことで社会に正確な情報が伝わらないことが、数々の大きな問題を引き起こしてきました。

『韓国・文在寅政権「日本は放射能汚染されている」プロパガンダのウソ』https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66798)でも記したように、日本国内発の誤解や偏見が外国政府から対日プロパガンダ攻撃に利用され、国益を毀損させるケースまでもが発生しています。

 

さらに、今も続く福島の子供に対しての甲状腺検査も大きな問題となっており、過剰診断問題によって子供たちに大きな不利益を発生させているとの懸念が広がっています。しかしこの問題にも、解決の糸口が未だ見つけられていません。

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021021000001.html

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