2021.04.01
# 本

「たのしい幼稚園」65年の歴史から、日本社会の課題と希望を考える

「社会の希望」を反映した歴史
「たのしい幼稚園」の歴史から日本社会が見えてきたーー。幼児誌変遷の背景にある「日本社会」の問題と未来への希望を、在欧研究者で育児やジェンダー問題についても発信している、中川まろみ氏が読み解きます。

3世代にわたり読まれてきた幼児誌

今年2021年、講談社の発行する幼児向け雑誌「たのしい幼稚園」が創刊65周年を迎える。子供の頃に読んでいたという人やお子さんに買ったことがあるという人もたくさんいるだろう。中には3世代に渡って愛読してきたというご家庭もあるかもしれない。

たのしい幼稚園 創刊号(1956年)
 

私はというと、これまで実は同誌をほとんど読んだ事がなかった。

約10年前に日本を離れ、現在は欧州のオーストリアで妻と共働きをしながら子供2人を育てている40代の研究者である私は、自身が子供の頃に幼児誌を買ってもらった経験がなかったことや、子育ての大部分を国外で行ってきた云々といった言い訳で、同誌に限らず日本の幼児誌全般に馴染みが薄かった。

ところがそんな私は先日、創刊当初までを遡り同誌の辿った65年の歴史を学ぶ機会に恵まれた。そこで知った日本社会全体の問題とも深く関わる同誌の歴史はとても重く、私が勝手に抱いていた同誌や日本の幼児誌への印象を根本から変えるものだった。

今回は、拙文ながら私が感銘を受けた同誌の歴史及びそこから見える未来への希望を、同誌を知る人はもちろん、私同様にこれまで同誌に触れる機会が少なかった人にも紹介したい。

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