ラストバンカー・西川善文が一刀両断した「口先だけの駄目上司」

西川善文『仕事と人生』(2)
西川 善文 プロフィール

人任せではリーダーたりえない

トップが先頭に立つことは、動きが速くなるというメリットもある。それはトップが独断でやるという意味ではなく、「ああでもない、こうでもない」と議論を延々とすることが少なくなるからだ。トップ主導の経営スタイルにはいろいろな評価があるけれども、アメリカ、ヨーロッパあたりを見ていると、そちらのタイプの経営者が多い。三井住友銀行が資本増強をしたときに、インベストメント・バンカーのCEOが自ら出てきて、頭取の私と話をしたことがある。実際に会って話してみて、「彼は誠実だ。彼がやるから大丈夫だ」と判断したらOKというわけである。

 

提携や合併にしても、昔は下からずっと積み上げていった。それでも、最後はやはりトップ同士が話をしないと決まらないことは多かったし、懸案事項はトップ同士がやりとりしないとなかなか解決しなかった。今はスピード感をもって進める時代だから、なおさら昔のように悠長なことをやっていられない。事務的な問題は下に詰めさせなければいけないにしても、トップが積極的に動かないと一歩も二歩も後れを取ってしまうだろう。

かつて銀行の頭取は床の間を背負っている存在であり、一九九七年当時、銀行業界にトップ主導というスタイルの経営者はほとんどいなかった。しかし、今は時代が変わり、会社のトップ自ら交渉の矢面に立つという経営スタイルが増えている。人任せではリーダーたりえない時代に進んでいることは間違いない。将来のトップになり得る若いリーダーはぜひ自ら動くことを信条にしてほしい。

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