舌を巻く「伏線」の連発…ドラマ『天国と地獄』の第7話に戦慄した理由

底の見えない深みがある
高堀 冬彦 プロフィール

3年前に横浜市で法務省官僚が殺されたことがカギである。この官僚だけ金と絡んでいない。自分たちが捉えた悪党がこの法務官僚によって起訴できなかったのではないか。

十久河は日高と入れ替わるまでの彩子に冷淡だったが、入れ替わった後は態度が豹変した。やさしくなった。第4話では娘に渡すはずだったプレゼントまで渡している。

「あっ望月、これいらない?」

十久河がミスターXなら、朔也と結びついているから、入れ替わりも知っているはず。だからではないか・・・。

 

黒澤明監督の『天国と地獄』を彷彿

このドラマは入れ替わりを楽しませる上、その理由を考えさせ、さらに連続殺人犯を推理させて、立場や環境がつくる善と悪を考えさせている。複雑で緻密、そして重厚なストーリーだ。

脚本を書いている森下佳子さん(50)は故・黒澤明監督による名画『天国と地獄』(1963年)を意識しているはず。山崎努(84)が演じた貧しい誘拐犯・竹内にとって、丘の上にある豪邸は天国。自分が住む薄汚れた町は地獄。地獄での日々が竹内を狂わせ、天国に住む子供を誘拐させた。貧困は犯罪を誘う。

もちろん出演陣も良い。魂が日高になった後の綾瀬のダイナミックな動きや不適な笑い、不気味な表情は、簡単に出来るものではない。その上、生まれ持った清潔感があるので、魂が日高になっている彩子が品の悪いことを口にしても汚れを感じさせない。

同じく魂が彩子になった高橋は、肩のすくめ方から指の動かし方に至るまで女性そのもの。2人の好演がなかったら、いくら脚本が良かろうが、これほど人気作にはならなかった。

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