貧乏旅をしながら約2年をかけてほぼ世界一周した旅の様子を綴った『ブラを捨て旅に出よう』の著者・歩りえこさんに、著書では紹介されていないエピソードを綴っていただいているFRaU web連載「世界94カ国で出会った男たち」(毎月2回更新)。

今回綴っていただいたのは、他の旅行者たちから聞いた現地での出来事があまりにも酷かったため、警戒して訪れたというインドでのエピソード。「女性だから」という理由で受けたハラスメントやインドで多発する性暴力、歩さんが世界各国で見てきた女性蔑視の現場などをお伝えします。3月8日の「国際女性デー」を直前に、女性の生き方や健康、ジェンダー平等について考えるきっかけになればと思います。

歩さんの今までの連載はこちら▶︎

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警戒心を持って上陸したが到着早々…

世界94ヵ国を一人で旅してきて、様々な女性差別や女性蔑視を感じた実体験が無数にある。基本的に私は女性だからといって物怖じしない性格で、特に旅に出てからはそれに拍車がかかった。そんな私が唯一、足を踏み入れるのに躊躇していた国がインドだ。旅先で仲良くなった女性旅行者たちから聞くインド体験が、どれもこれもすさまじいものばかりだったからだ。

ある日本人女性は宿の従業員に性交渉目的で毒を盛られ、現地で2週間の入院生活を余儀なくされたという。毒を盛られるなんて恐ろし過ぎる……旅慣れしてきたとはいえ、インド入国に際しては、警戒心たるやかなりのものだった。

バナラシのガンガーで沐浴する人々。写真提供/歩りえこ

デリーの空港に着いた途端、いきなり100人以上の客引きに囲まれ、凄まじいインド人たちの眼力にクラクラと眩暈がした。無数の腕がワラワラと伸びてきて我先にとタクシーに乗せようとする。私はクラクラしながらも腕をつかんできた客引きを振り払ってローカルバスに乗りこんだ。「空港タクシーは悪質な事件が頻発するから絶対に乗るべからず」と肝に銘じていたのだ。

しかし、そうして乗ったローカルバスだったが、突然“ドーン!!”と爆音を発しながら民家に激突。怒って出てきた民家の人間は、バス運転手や乗客と口論を始め、そこに野次馬がわらわらと群がり、壮絶な殴り合いへと発展していった。

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やれやれ、初日から先が思いやられる。ボコボコの顔になって帰ってきた運転手の荒い運転で、ニューデリーのメインバザールへと到着した。まずは宿の確保をということで、さっそくリキシャ(人力車)と値段交渉を始め、5ルピー(約10円)でガイドブックに載っているお目当ての安宿へ連れていってもらった。

真夜中ではあったが、無事に安宿へたどり着きひと安心……と思ったら問題発生。従業員が部屋のドアを不必要にノックしまくり、「部屋に不備があるからチェックする」などと、適当なことを言って半ば強引に部屋に入りこもうとするのだ。完全に無視を決めこんだが、一晩中鳴り止まないノック音で不眠状態のまま朝を迎えた。

メインバザールでは美味しそうなフレッシュマンゴージュースが売っているがインド慣れしていない旅行者は下痢をしやすいので要注意だ。写真提供/歩りえこ