「耳を鉛筆で突き刺されたような…」帯状疱疹が引き起こす激痛と顔面麻痺の正体

林文子横浜市長も罹患
木原 洋美 プロフィール

三叉神経領域の帯状疱疹の合併症を見逃され

本章では、間違った診断・治療でつらい思いをした症例を1つ紹介する。

●患者:50歳女性Mさん

●症状と経過:
12年前、Mさんは左側顔面神経麻痺で大学病院に2週間入院して治療を受けた。入院中にも症状は進み、左側頬部、上下唇に痛みが生じた。ラムゼイハント症候群の診断で抗ウイルス薬とステロイドの点滴治療を受けた。退院後、上下唇、口角にビリビリした持続性の強い痛みが続いた。また、左目のけいれんで眠れず。退院後、通院にて顔面神経麻痺に対してビタミン剤の処方とリハビリ方法の指導を受けた。痛みを訴えたが、特に診察も無く、経過をみるように言われた。半年くらい通院したが改善しないために中断した。その後、痛み、顔面神経麻痺とも改善せず、咀嚼時に閉眼する病的共同運動が生ずる様になっていた。

9年前、病院の脳神経外科を受診して相談した。顔面神経麻痺に対してはリハビリを続けることと、痛みに対してはリボトリール(痙攣を抑え、不安を鎮める効果がある)が処方されたが、1~2ヶ月服用したものの効果が無かったため、通院を中断した。

4年前に大学病院の神経内科を受診。顔面神経麻痺はリハビリを続けるしか無く、痛みは神経障害性疼痛との診断でリボトリールに加えて、リリカ(神経障害疼痛に用いられる鎮痛薬)の処方を受けた。その後、同じ処方を近医で受けていた。

その後、顔面神経麻痺に関してはほぼ諦めの心境でいるが、痛みだけでも改善することを願い、顔面の痛み治療医を探して和嶋医師のクリニックを受診した。

 

●診断:
顔面神経麻痺は明らかで、その他に左側三叉神経第2枝、3枝に感覚異常が認められること、その発症がほぼ同時である事などから、12年前の初発症状は帯状疱疹ウイルスによるラムゼイハント症候群および三叉神経左側第2枝、第3枝の帯状疱疹であり、現在の状況はそれぞれの後遺症として左側顔面神経麻痺、病的共同運動、及び帯状疱疹後神経痛と診断される。

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