約13年間のOL生活に終止符を打ち、2014年にライターに転身。2020年のデンマーク留学を期に、活動拠点をフィンランドに移した小林香織さんの連載。今回は、フィンランドの人々が持つ「趣味」の価値観に焦点を当て、フィンランド人と日本人の国際夫婦に取材した。

2006年に結婚したフィンランド人男性のイルマリさん(仮名)と日本人女性のリサさん(仮名)は共に40代。小学生の長女と幼稚園に通う次女とともに、4人でヘルシンキに暮らしている。

キッチリした性格のイルマリさんの影響もあり、ふたりは子どもが生まれてから数々の時短術を実践。効率性を重視して時間を生み出すことで、親子ともに最大週に4回ほど趣味の活動を楽しむ生活を送っているという。ふたりの具体的な時短術とフィンランドにおける趣味の価値観を聞いた。

「時短」と「節約」を同時に叶える生活術

お互いにフルタイムの共働き夫婦のふたり。イルマリさんはフレックスタイム制、リサさんはシフト制で働き、育児や家事は平等に分担しているという。子どもが生まれる前はお互いに柔軟に仕事をしつつ、毎日の自由時間も確保できていた。

「フィンランドではフレックスタイムを導入している企業が多く、自分自身で勤務時間の調整がしやすい環境です。私の場合は、仕事量が多い日は10時間、少ない日は6時間勤務といった感じで調整して、趣味や家事の時間を十分に確保できていました」(イルマリさん)

夫婦ふたりなら独身時代とそう変わらない生活を送れたが、子どもが生まれてからはそうはいかない。朝8:30と夕方17:30の幼稚園の送り迎えに、食事の支度や寝かしつけなどやるべきことが増えたために、イルマリさんは以前のように柔軟な働き方ができなくなった。彼はバドミントンを除くすべての趣味をやめたが、それでも時間は足りない。そこで、ふたりはいくつかの工夫を始めたという。

日常的な食料品の買い出しは週に1回。車でまとめて引き取りに行く 写真/リサさん提供

「1週間分の献立をあらかじめ決めて、必要な食材や日用品を事前にネットで注文しています。レジに並ばず、店内を歩き回る必要もないから時短になるし、余計なモノを買わなくなったので節約効果も。2週間に1度、美味しい魚が食べたいと思った日だけ品ぞろえのいいスーパーに行きます」(リサさん)

日用品はストックを1ヵ所にまとめて、専用のリストを作って管理している 撮影/小林香織

「洗剤やトイレットペーパーなどの日用品は、ホワイトボードで一覧にして在庫の有無がひと目でわかるようにしています。ストックに手を付けたら、週に1度のネット注文に含めるので、急な買い物がなくなりました」(リサさん)

子どもたちの洋服は種類別にケースに入れ、どれに何が入っているかがひと目でわかるように 撮影/小林香織

「これを実践してから、幼稚園生の次女も自分で洋服を選べるようになりました。誰かに子どものお世話をお願いするときも説明の手間が省けます」(リサさん)

イルマリさんの旅行用セット。ペアを探す時間を省くため、靴下は1種類で統一しているそうだ 撮影/小林香織

「出張や旅行の準備がすぐにできるように、あらかじめ下着などの必需品をまとめています。短期用・長期用などと分けて、私のものは青、娘のものはピンクなど分類することで、子どもでもひと目で自分のものだと理解できます」(イルマリさん)

これらの工夫により、週に3〜4回ほどの趣味を楽しむぐらいの時間の余裕が生まれたそうだ。